わが友ホロゴン・わが夢タンバール

39.26 ホロゴン写真展2「2003年夏のネパール」26 ノーファインダーに一理あり

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もしあなたが小さなヒンズー寺院に入って、
土間の上に静かに寝息を立てているおばあちゃんを見つけて、
写真に撮りたいなと思ったら、どうしますか?
たいていの写真家は、数メートル離れて、ぐっと腰を落とし、
一眼レフをアイレベルに構えて、
ズームの望遠側でおばあちゃんをクローズアップしたり、
標準あたりに戻して、背景を巧みに配置したりして、
見事な写真を数枚お撮りになることでしょう。
私はどうしたか?
ホロゴン15mmF8は接近しないと、
撮りたい写真は撮れないと信じている人間なのです。
そのまますーとおばあちゃんの前に進み、
腰に構えたホロゴンで、縦位置を一枚だけ頂きました。
そこで、さらに仮定を進めましょう。
もしその撮影の瞬間におばあちゃんが目を覚ましたら?
どうしますか?
慣れた写真家なら、カメラを眼から離さず、
なお1、2枚撮ってから、やおらカメラを別の方向に向け、
さらに1、2枚撮って、立ち上がり、
何食わぬ顔で立ち去ることでしょう。
慣れてない方なら、どうしますかね?
思わずカメラから眼を離してしまうでしょうね。
でも、その態勢からおばあちゃんを撮っていたことは明らか。
ちょっと具合の悪い笑顔を浮かべて、
ぺこりとお辞儀するのが関の山ではないでしょうか?
私の場合は、どうでしょうか?
私は、にこりを笑います。
堂々としています。
なぜって、私はしっかりと姿勢を正しくして立っているのです。
この姿勢が、私の大きな資本なのです。
姿勢正しくまっすぐ立って、けちなことをする人はいないのですから。
しゃがんだり、腰をかがめて一眼レフを構えている態勢は、
おばあちゃんを写真のネタにしてやろうという態勢と、
当然ながら、受け取られてしまいます。
私は、平然と側に立っているだけなのです。
もちろん、にこりと笑った後、「ありがとう」と付け加えます。
おばあちゃんは、それが何を意味するか、ちょっと考えます。
でも、私がまっすぐと立って、にっこりしているのですから、
悪い人ではないと受け取ってもらえます。
どうして、そんなに堂々とできるのか?
それは、私が盗み撮りしてやろうとか、
傑作を頂き!なんてさもしい考えは抱かないからです。
美しいな、記憶にとどめたいな、ただそれだけを考えて、
自分のために撮るから、
やましい気持ちにはならないのです。
いかがでしょうか?
この写真をご覧になって、
撮影者に、そんなさもしい気持ちをお感じになる方、
おられるでしょうか?
by Hologon158 | 2008-11-14 21:49 | ホロゴン写真展 | Comments(0)