わが友ホロゴン・わが夢タンバール

48.24 ホロゴンドラマ2「2008年11月9日長崎二日目」24 見知らぬ者を知人のように


前回、引用を文章の目玉にしましたので、
こんどは、引用の引用をしたいという気分になりました。
ブレ・ボケの元祖のような写真家中平卓馬と森山大道、
このお二人は長年の盟友のようですが、
2人そろって、写真の腕も達者なら、文章も達者ですね。
そして、不思議なことに、話よりも文章の方が巧い。
お二人の文章は、実に凝りに凝ったもので、
私には、実は、ほとんど理解不能なのです。
写真撮るのに、そんなに難しいことを言わなくてもいいじゃないの?
四の五の言わずに、シャッターを押す、これで十分ですよね。
でも、実のところ、私も写真についてあれこれ書くのは大好き。
でも、すべて直観的な印象を描いているだけで、
写真論として議論をするつもりはありません。
そんなものは持っていないのですから。
ただ、時折、自分の写真の撮り方を照明してくれるような、
素敵な文章に出会うことがあります。
中平さんがそんな文章を「決闘写真論」で引用してくれています。
ブレヒトの「観察の芸術について」から。
「だが、人間についての知識を身につけるには、自分を観察するだけでは足りない。
人間は自分では自分が見えない。
自分自身を知り尽くすことは、人間にはできない。
だから、君たちの勉強は、生きた人間たちの間で始めなければならない。
最初の学校は、君らの職場、君らの住まい、君らの町内、
通りや地下鉄や店だ。
そこのすべての人間を観察することだ、
見知らぬ者を知人のように、
知人を見知らぬ者のように」
私は、この最後の二行が気に入りました。
「見知らぬ者を知人のように」
これって、撮影時に私のやっていることです。
この気持ちがないと、アジアの裏通りを1人で歩くことはできません。
「知人を見知らぬ者のように」
これって、ホロゴンがやっていることです。
私はこれを、ホロゴンの異化と呼んでいます。
おかげで、私は自分で撮っておきながら、その場所を、
生まれてはじめて観るような気持ちで観ることができるのです。

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by Hologon158 | 2009-01-22 21:53 | ホロゴンドラマ | Comments(6)
Commented by k7003 at 2009-01-22 22:49
この4枚のダイナミックス、凄いです。いったりきたり、あきることがありません。魔法のようです。
Commented by a1photo at 2009-01-23 00:20
一番下の家、立って寝てるの(って怒られるか)
いやはや。味のある界隈です。
Commented by まこっち at 2009-01-23 09:36 x
おはようございます。
一番下の写真はすごいですね!!
ブロック3つが並ばないわけですから・・・
こんな”おっ”と思うシーンに出逢えるのも写真という趣味のお陰ですね。


Commented by Hologon158 at 2009-01-23 11:55
re)NKさん
ありがとうございます。
私は、観察力はほとんどゼロに近いのですが、
なにかあるぞ、ここは凄いぞっという、全体の雰囲気に反応する能力はすこしあるようです。
そんなとき、その方角にホロゴンを向けて、シャッターを押します。
たいてい見事に写ってくれます。
私の持っています数少ないレンズでは、ホロゴン、スーパーアンギュロン21/4、この二本はエネルギー感に満ちた写真をプレゼントしてくれます。
ここでは、ホロゴン。
レンズの魔法なのです。
Commented by Hologon158 at 2009-01-23 13:22
re) a1photoさん
もちろん立ったままの居眠りの真っ最中です。
まぶたが二つとも閉じて、頭が傾いているので、わかりますね。
長崎よいとこ、一度はおいで、ですよ。
私は奈良。奈良、京都、大阪、滋賀、みんな宝庫ですが、
長崎にはまた行きたいですね。
不思議にも、まだ若い路地裏なのですが、
これから10年、20年と経つ内に、尾道のような、年ふりた坂の町に変貌してゆくでしょうね。
Commented by Hologon158 at 2009-01-23 13:25
re)まこっちさん
楽しいでしょ?
この家の中、見てみたいですね。
手を伸ばせば、家の両側の壁に触れる、とても珍しい家ですね。
でも、お隣さんが居ないので、気楽な生活を楽しめるんじゃないでしょうか?
ぶっ倒れそうに見えるのは、ホロゴンが傾いたせいで、
家はしっかりしています。