わが友ホロゴン・わが夢タンバール

62.10ホロゴンドラマ7「和歌山の旅③ 廃校の冬」10 この椅子ははじめての校長椅子だったはず

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校長室に入ったことがありますか?
私はありませんね。
いかなる意味でも平凡そのものの学校生活を送った私です、
校長室とはまったく無縁の人生を送ったわけです。
でも、校長室に近づいたことが一度だけあります。
中学校のことでした、
どういうわけか、写生の校外学習で描いた絵が校長室の入口側の壁に貼りだされたのです。
つまり、私本人より絵の方が校長先生に近づいたというわけです。
なんと思ったか、習字用の筆を一本持参して、大変に細かく描いた記憶があります。
一枚だけ貼りだしたのですから、絵の先生も少しは評価してくれたのでしょう。
でも、絵の先生をはじめとして、誰一人、この絵のことで私になにかコメントしてくれた記憶はありません。
なんだか、このブログの運命を先取りしたかのようです。
この学校の校長室に足を踏み入れて、最初にこのことを思い出しました。
そして、ちょっと感激したものでした、
ついに、ぼくは校長室に入り込んだのだ!
でも、あのとき、絵の先生がこんな一言をかけてくれていたら、
「うん、君、絵の才能があるね」
私は今頃、世界の画壇を席巻する革命的な大画家になっていたかも?
思えば、私の絵の人生はあのときピークを迎えていたのです。
なんと低いピーク!
この学校の最後の校長先生もそうだったかも知れませんね。
僻地に近い小さな小学校、
赴任した校長先生にとって、この椅子ははじめての校長椅子だったはず。
そして、はじめてこの椅子に身を沈めたとき、
彼の心には、大きな感動と高揚感があったに違いありません。
ついに頂点を極めたぞ!
でも、その翌年、教育委員会は校長先生を呼び出して、こう宣告するのです、
「君ね、ほかならぬ君を校長に据えたのは、ある仕事をするためなんだ。
君に与えられた使命は、この学校を廃校にすることなのだよ」
おそらく彼はその衝撃から二度と立ち直れなかったのではないでしょうか?
この椅子が、彼の失望と喪失感をものがたっているのでは?

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by Hologon158 | 2009-04-14 22:46 | ホロゴンドラマ | Comments(4)
Commented by a1 at 2009-04-14 23:00 x
 こーいう所は勝手にいかないで、私も連れて行くよーに。
Commented by andoodesign at 2009-04-14 23:16
ここ、本当にすごい場所ですね。
写真も凄みがありますが、カーテンや卓上の物まで放置するなんて...、ちょっと恐いくらいです。
Commented by Hologon158 at 2009-04-15 15:54
re)a1photoさん
すみませんね。
でも、私のブログの説明で、この廃校の存在は十分に探り出すことができます。
私は二度と参りませんので、興味があったら、お出で下さい。
おそらく当分はこのままでしょうから。
今後もそんな場所にぶつかるかも知れませんね。
あらかじめ分かっていたら、一緒に行って頂くのですが、
いつも突然どんと目の前に出現するのです、
まるで幽霊船のように。
Commented by Hologon158 at 2009-04-15 15:56
re)andoodesignさん
ほんと怖いですよお!
でも、興奮してしまい、怖さなんかそっちのけになること請け合い!
おっしゃるとおり、どうしてみんな放り出して、姿を消してしまったのでしょうね。
このミステリーがさらにこの学校をミステリアスな存在にしてくれています。
たまりませんね。