わが友ホロゴン・わが夢タンバール

75.26 ホロゴンデイ22「09年2月21日弘法市から北大路まで」26 ただ一度きりの、その場に

佐藤多佳子という小説家をご存じですか?
どうも児童文学から出発した方のようですが、
「黄色い眼の魚」がよかったので、
今、「しゃべれども しゃべれども」(新潮文庫)を読んでいます。
売れない二ツ目の落語家、今昔亭三つ葉が主人公。
噺家なのに、不器用で、人間関係も仕事もなかなかうまくいかない。
そんな不器用な噺家に落語を教えてほしいと、ひょんなことから4人が集まってくる。
これがそろいもそろって、不器用人間。
私も器用ではないため、とうとう一匹狼を通してきた人間だけに、
なんだか身につまされることばかり。
でも、お話の方は、興味のある方には読んでいただくことにして、
私が書きたいのは、別のこと。
三つ葉が師匠の開く一門会に出演することになります。
神経質になっている三つ葉に、お茶の師匠であるおばあちゃんが言います。
「一期一会っていうんだよ。
お茶の心だよ。同じ茶会というのはけっしてない。
どの会も生涯にただ一度かぎりだという心得さ。
その年、季節、天候、顔ぶれ、それぞれの心模様、なにもかもが違うんだよ。
だからこそ、毎度毎度面倒な手順を踏んで同じことを繰り返し稽古するんだよ。
ただ一度きりの、その場に臨むためにね」
この言葉を読んで、感じました、
ああ、これこそストリート写真の極意!
同じ路地だけど、
時間が違う、
季節、天候が違う、
自分の心が、感情が、体調が違う、
路地の雰囲気、状態が違う、
ものも違う。
いつも、最初で最後の一回限りの出会いなのです。
木村伊兵衛は、浅草の下町を一生歩き回りました。
一期一会の気持ちだったのでしょうね。
それを、飽きもせずにねと笑うのは、笑う人の方が分かっていない。
肝心なことは、自分がそんな気分になれるかということ。

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by Hologon158 | 2009-05-28 18:44 | ホロゴンデイ | Comments(0)