わが友ホロゴン・わが夢タンバール

78.26 ホロゴンデイ23「09年1月11日葛城古道歩けばロボーに当たる」26 こみ上げる感情は慟哭に

プルタルコスの英雄列傳でもちょっと悪玉の英雄はアルキビアデース。
ソクラテスの弟子だったことでも有名ですが、
この人がまだ子供の頃、楽器について面白いことを言っています。
子供たちは学校で楽器を習うのですが、笛だけは拒否したというのです。
琴なら、同時に歌も歌うことができ、自由人にふさわしい姿や形を損なわないけど、
笛を吹く人の顔つきは親しい人々にも顔が分からないほどになる、というわけです。
それ以来、アテネでは、笛は自由人の教育から姿を消してしまったということです。
このエピソードには、アルキビアデースという人物が現れています。
彼は外観をとても気にする人だったのです。
でも、笛だって、名手が使いますと、大変に美しいイメージになります。
たとえば、リコーダーのミカラ・ペトリの演奏する姿は美しい。
演奏しながら、自分の姿、スタイルをアピールするのに適した楽器もあります。
その最たるものが、ピアノでしょう。
チェロも美しいですね。
結局、演奏者が美しければ、どんな楽器も美しく見えるということでしょうか?
今一番気になっているのが、チェリストのハンナ・チャン。
音楽にあわせて、実に雄弁に表情を作ります。
協奏曲になりますと、左右の演奏者たちの方にも顔を向けて、
一緒に弾いて楽しいねと言わんばかり。
観ているだけで、楽しくなります。
でも、妻に言わせると、「あんな表情は美しくないから、だめ。
もっとニュートラルにしなくちゃ!」と厳しい判定。
その点、同じチェロでも、彼女が目標にしているジャクリーヌ・デュプレは別格。
音楽にあわせてというより、曲想にうっとり耳を傾けるような表情。
ハンナ・チャンももう少し音楽に余裕が出てきたら、
表情もまた美しいものに変わってゆくことでしょう。
楽器演奏でもっとも美しい姿を見せてくれるのはなにか?
そう考えますと、二胡と言いたいですね。
You Tubeで「江河水」で検索していただき、
ブルーの中国服の若い女性の演奏を見つけてください。
二胡の最高の演奏家、閔惠芬さんの若き日の名演。
次第にこみ上げる感情は慟哭にまで高まります、
そのクライマックスの演奏する姿の美しいのなんのって!
何十回観たことでしょうか?
河を見つめながら、亡き夫を偲ぶ若き妻の悲しさをこれ以上に美しく表現した、
音楽はありませんし、
演奏者もありません。
そう、私は断言したいのです。

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by Hologon158 | 2009-06-04 21:26 | ホロゴンデイ | Comments(0)