わが友ホロゴン・わが夢タンバール

80.09 ホロゴンドラマ11「04年1月台湾の日々はいつも大安だった」9 音は耳で聞かず

韓流ドラマ「ファン・ジニ」の主人公、黄真伊のことが気になって、
原作を手に入れました、キム・タクファン「ファン・ジニ」2巻(ハヤカワ文庫)。
ファン・ジニが晩年人生を回顧するもので、内容もドラマとはぜんぜん違います。
ジニが、韓国のオリジナル楽器、コムンゴに夢中になる箇所、読み応えがあります。
私が揚琴に夢中になってしまったことを思い出すと、さらにジニの心が近くなるようです。
ジニの師、徐敬徳がコムンゴに刻んでくれた言葉は、
時折出会える最高の言葉の一つ。

「コムンゴの調べにより鳳凰を舞い踊らせ、
コムンゴの調べにょりよこしまな心を洗い、
天とひとつになりなさい。
月を抱いた秋の川のひそやかな流れを学びなさい。
コムンゴの六弦に是非を問うより、
むしろ無弦琴を撫でながら、
音なき音を聞き、形なき形を楽しみなさい。
コムンゴの弦をつま弾けば、
完全なものと欠けているものとの区別が生じるが、
弦がなければ、完全も不完全もない。
音は耳で聞かず、心で聞くものだ」

老師の在世中は、無弦琴の価値を考えることはなかったジニは、
続けて、こう書いています、
「俗世は、存在すること、動くこと、話すことによって左右されると信じていました。
いま、雨上がりの空の下で、先生が残していかれた無弦琴を前に座ると、
コムンゴに触ってもいないのに、音が広がってきます。
何かを作らなくては、作った音を世に伝えねば、という我執を捨て去れば、
万物の音がわたしのなかに流れ込み、ぶつかり、鳴り響きます」

美しい言葉です!
この師にして、この弟子あり、というところでしょうか?
前にも書きました、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の打楽器奏者が、
「楽器を使わないで鳴らす音、音なき音」のことをいつも考えているという話。
彼が考えていたことも、ジニと変わりがなかったのではないかな、そう感じます。
なかなか体得しがたい境地ですが、
なんだか分かるような、いや、分かりたい気がします。
偉大な音楽家というのは、ここまで行くのですね。
老師の美しいことばをゆっくりと味わい、
心の中に沁みとおらせたいものです。

「音は耳で聞かず、心で聞くものだ」

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by Hologon158 | 2009-06-07 12:31 | ホロゴンドラマ | Comments(0)