わが友ホロゴン・わが夢タンバール

88.41 ホロゴンデイ25「2006年2月25日奈良東畑で辿るは過疎の道」41 可愛いじゃありませんか?

唐代に、張旭という草書の大家がいたそうです。
この人は、有名な踊り手の公孫の「剣器舞」という踊りを見て、
書の神髄を悟ったということです。
彼の草書は、奇抜なまでに自由だったので、「狂草書」と言われたそうです。
まさに舞踊のように、ひらりひらりと舞い上がり、転回し、身体を伏せ、
また伸び上がり、自由自在で、流れ流れてゆきます。
まるで解読不能ですが、筆の勢いと自然な運びは音楽を聴くようです。
中国の書家が書く姿を見たことがおありですか?
テレビで時折見た、側筆で重々しく書く、日本の書家とはまるっきり違います。
空中に筆を保持して、直筆で流れるように書くのですが、
そのとき、空中の手首は、目に見えない卓上に置かれているように、
微動だにせず、安定して、紙の上を筆だけがさらさらと優雅に踊るのです。
もう感動的な位に、水際立って、お見事!
思うに、カルティエ=ブレッソンや木村伊兵衛もそうだったのではないでしょうか?
先日、大阪梅田のマツモトカメラのご主人から面白い話を聞きました。
どこかで撮影しているとき、
なぜかすぐ側に近づいて来た老人が、
これ見よがしに、ライカ3fを見事に操作したそうです。
チャッとシャッターを落とし、右手人差し指の腹をさっと引いて、
その一動作だけでフィルムをスッと軽く巻き上げてしまい、と、
電光石火の早業を幾度も反復したのです。
ご主人、にっこり笑って、
「音で分かりました、フィルムを入れておられませんでした」
もう爆笑ものですが、きっと木村伊兵衛の速写のビデオをご覧になって、
大写真家の颯爽たる姿に憧れて、こんな一策を思いつかれたのでしょうね。
可愛いじゃありませんか?
でも、フィルムを入れておられないことで、ばれてしまいますね。
かっこだけ真似ても、きっと、ろくな写真が撮れない。
だから、フィルムがもったいないということなのでしょう。
でも、この方、それじゃ、どうしたら自分の写真を撮れるか?
真剣に考えるのが筋道ですよね。
そう考えると、
ちょっと寂しい人ですね。

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by Hologon158 | 2009-07-12 00:27 | ホロゴンデイ | Comments(0)