わが友ホロゴン・わが夢タンバール

96.19 ホロゴンデイ28「2008年5月17日奈良町、奈良公園は春爛漫」19 「家族」とってもいい絵なんだけど

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エゴン・シーレは、最後の年にこの絵を描きました。
男性は、例の通り、自画像です。
でも、いつもの極端なデフォルメは最小限に抑えられています。
つまり、とても満ち足りた感じ。
女性は、妻のエディトではないそうです。
私には、他のエディトの肖像画と比較して、とてもよく似ているように見えるのですが、
別の女性であるとすれば、なぜ、別の女性とのカップルを描いたのか、
私にはどうも不可解です。
子供は、妻の妊娠を知ってから書き加えました。
エディトは胎児とともに世を去ってしまったのです。
この絵は、当初「うずくまる1組の男女」と題されていたのですが、
没後、「家族」と改められました。
「他の作品とは違って、希望に満ち、未来への希望が描きとめられており、
感動が伝わってくる」、そう紹介されていますが、
これも私には不可解。
たしかに絵の中のエゴンは、全身の安定した表情から満ち足りた感じを醸し出しています。
でも、女性の姿勢、両足首がないこと、うつむき加減で視線を流している表情など、
全身から醸し出される雰囲気はエゴンとはちぐはぐで、むしろメランコリー。
子供が最初の構想にはなかったことも考え合わせますと、
この絵の基調はむしろ愛し合う男女の中に小さな亀裂が見え始めた、
いわば崩壊へのかすかな兆しを描こうとしたのではないでしょうか?
妻の妊娠を知ったエゴンは、急遽構想を変更して、子供を書き加えるのですが、
こんな途中の変更って、巧く行くものではありませんね。
なんだかいかにも取って付けたという感じ。
というわけで、この絵、安定感といい、あたたかい色調といい、とても素敵なのですが、
どこか満ち足りない感じがするのです。
でも、そんな謎が、この絵の魅力かも知れませんね。
いかがでしょうか?

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[後書き]
ナギ原生林の老木を組んでみました。
3枚で、エゴン・シーレの「家族」のイメージに沿わせるようにしたつもりなのですが、
こじつけもいいところですね。
ごめんなさい。
by Hologon158 | 2009-08-01 11:43 | ホロゴンデイ | Comments(0)