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104.21 ホロゴン写真展2「古色拾い」21 奇跡の画家ファン・アイク

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もう一人の偉大なる画家を忘れていました。
ヤン・ファン・アイク
フランドルで15世紀前半に活躍した画家です。
オランダに行ったとき、ハーグから、ベルギーのブリュージュに参りました。
私の大好きな町なのです。
その近く、ヘントの町にも行きたかったからですが、
このフランス名「ガン」には、美術史上のもう一つの奇跡があるのです。
それが、ファン・アイクの描いた「ヘントの祭壇画」
この絵についてもいつか描きたいのですが、今回はこれ、
アルノルフィーニ夫妻像(1434年)を取り上げたいのです。
ジョバンニ・アルノルフィーニ夫妻の結婚の情景とされているのですが、
けっして「できちゃった結婚」ではなさそうです。
こんな風に、スカートの前を高く持ち上げるデザインの衣装。
実に初初しく、か弱く、美しい新妻。
夫もまだ若く、とてもきまじめな表情です。
まるで、古代エジプトのアトン神信仰の革命を行ったイクナートン王の雰囲気。
でも、深く妻を愛しているのがよく分かります。
とにかく細部の細部まで絶対におろそかにしなかった人です。
右手の窓といい、フェルメールはきっとこの人から大きな影響を受けたんだろう、
そんな風に想像させられてしまいます。
夫妻の描写のすべてはもとよりとして、
夫妻の間の犬、その向こうの奥に置かれた椅子の下のスリッパ、
夫の左下の木製のスリッパ、窓際の果物、シャンデリア、鏡、ベッド、
すべての細部がまるで写真のように精密で、しかも実在感があります。
右面は妻の愛らしさを引き立てるように、赤で包み込み、
左面は夫の誠実さを表現するために、ダークにまとめ、
しかもその夫の両側に赤を置いて、両面をちゃんとつなげてしまう離れ業。
夫妻の真ん中に、魚眼風の鏡があって、
夫妻が親族から祝福を受けている室内の情景が全部写っています。
こうして、狭い室内に広さと深さを見事に与えてしまう、これも離れ業。
どこからどこまでも完璧!
ロンドンのナショナル・ギャラリーの名品。
小品ではありますが、まるで玉手箱のような目の喜びに満ちていて、
人類の至宝の一つと言いたいですね。

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[後書き]
ファン・アイクの名品の後に、ホロゴンのお気に入りを置かせていただきました。
けっして対抗できるなんて考えてのことではありません。
でも、ホロゴン15mmF8というレンズの卓越性をちゃんと教えてくれる写真なのです。
私は、この高い窓が歪まないように、両手をできるだけ高く持ち上げて、
その両手の先にホロゴンを構えて、めくら撮りしたのです。
私は、15mm超広角の縦写真が大の苦手。
ちょっと左右に傾くと、画像はどっと倒れてしまうのですから。
でも、このときは、なぜかうまく行きました。
だから、私にとっては、これは「奇跡」の写真なのです。
それが、この写真がここに居る理由なのです。
by Hologon158 | 2009-08-31 11:54 | ホロゴン写真展 | Comments(0)