わが友ホロゴン・わが夢タンバール

110.28 ホロゴンデイ33「2009年9月6日古町歩いて、ますます新潟が好きになった」28 なんと、ハミングを

ジェームズ・ゴールウェイのフルート・リサイタル、
これが今日のコンサートでした。
クラリネットのカール・ライスター、
フルートのゴールウェイ、
この二人の大演奏家に共通点があります。
二人ともベルリンフィルの主席奏者だったのです。
そして、もう一つの共通点、
他の追随を許さぬ超絶的な技巧の持ち主であること。
前半、ドビュッシーの「月の光」、マルティヌーのフルートソナタの第一楽章が絶品でした。
ライスターとの共通点がまだあります、
低音のあたたかさと高音の神業のようなピアニッシモ!
これはもうたとえようもないほど!
いつものとおり、席は、最前列の中央。
つまり、そんな席が手に入らないと、行かない!
なぜか? 他人の頭が前にあると、気が散って、首をちょんぎりたくなるので。
70になり、体型から白雪姫のこびとみたいなゴールウェイが、
立ち上がって手を伸ばせば届くほどの近さで、
恍惚と目を閉じ、体をこちらに傾けて、うっとりと演奏するのです。
もう「人生のフェスティバルじゃ!」
後半は、信じがたいほどの妙技を披露する難曲の連続、ゴールウェイお得意のシーン。
トリプルタンギングで高音と低音とをめまぐるしく駆け巡る演奏が終わった後など、
ご老体、さすがにハアハア。
でも、私たち夫婦の聞きたいのは、
もっとスローでメローなパッセージとピアニッシモの美しさ。
開演前、妻とこんな会話を交わしたのです。
「ゴールウェイ、きっとアンコールに「熊んバチの飛行」やるよ」
「私が聞きたいのは、アイルランドの歌。たとえば、ダニーボーイ」
「うん、絶対に聞きたいね、モリー・マローンでもいい」
私たちは、間違っていました。
実際に、ゴールウェイが選んだアンコールは、
「ダニーボーイ」、「熊んバチの飛行」の逆順だった!
この「ダニーボーイ」、
私は生涯忘れないでしょう。
彼自身の故郷に対する思いのすべてがこめられたような、たえなる調べだった!
おそるべきことが起こりました、
妻のとなりの女性が、な、なんと、ハミングを始めたのです。
でも、ご心配なく。
妻がほんの軽く、びしっと身動きをするだけで、制止してしました。
私も妻も、ニューイヤーコンサートのラスト、ラデツキー行進曲で手拍子をとる習慣が大嫌い。
ラデツキーは、早暁、騎兵が粛々と出撃し、戦場に向かう、
そんな実に勇壮なスペクタクルを見事音楽化しています。
私はこの中間部を聞くのが大好きなのです。
それなのに、聞こえてくるのは、へったな手拍子。
おまえたちの不揃いの下手な手拍子なんか聴きに来たんじゃねえ!
私はそう言いたい!
話が逸れました。
隣のハミングはパタッと止まり、後は心行くまでゴールウェイを満喫することができました。
奥さん、ありがとう!
そんな次第で、午前は天才写真家の極上の写真展、
午後は天才音楽家の極上のコンサート、
天国のような時間を過ごすことができたのです。
シンフォニーホールを出ると、梅田に出るためタクシーに乗る妻を見送ってから、
徒歩5分のJR福島駅に急ぎました。
えっ、どれくらいの早さで?
よくぞ、聴いていただきました。
最初の交差点赤信号で滞留していた演奏会組第一陣を、
青信号とともに一気に抜き去り、福島駅について振り返ったとき、
演奏会組は一団となって100メートル以上後方でした。
当たり前ですよね。
みなさん、コンサートに陶酔して、ゆったりと歩いてくるのですから。
でも、駅には行って電車表示を見ると、次の環状線は6分後。
つまり、周回遅れにしたはずの演奏会組もちゃんと遅れを取り戻すことになりそう。
骨折り損だったね、ですって?
とんでもありません。
私は、ただいつものスピードで歩いただけなのです。
早く歩くと、なんだか血の巡りがよくなるような気がするので。
さあ、奈良に帰らなくちゃ、
帰って、「陽関三畳」の練習をしなくちゃ!
おっと、その前に、静たち娘、息子に晩ご飯をあげなければならない。
ああ、ばあやなんかがいたら、よかったのに!
ただこう言えばいいわけで、
「お芳、静たちにご飯をやっといておくれ。
それに晩餐は午後7時にしてもらおうかい。
力を付けなくてはいけないから、ビフテキにしておくれ」

110.28 ホロゴンデイ33「2009年9月6日古町歩いて、ますます新潟が好きになった」28 なんと、ハミングを_c0168172_22595384.jpg
110.28 ホロゴンデイ33「2009年9月6日古町歩いて、ますます新潟が好きになった」28 なんと、ハミングを_c0168172_230211.jpg
110.28 ホロゴンデイ33「2009年9月6日古町歩いて、ますます新潟が好きになった」28 なんと、ハミングを_c0168172_2301179.jpg
110.28 ホロゴンデイ33「2009年9月6日古町歩いて、ますます新潟が好きになった」28 なんと、ハミングを_c0168172_2301953.jpg
110.28 ホロゴンデイ33「2009年9月6日古町歩いて、ますます新潟が好きになった」28 なんと、ハミングを_c0168172_2302867.jpg
110.28 ホロゴンデイ33「2009年9月6日古町歩いて、ますます新潟が好きになった」28 なんと、ハミングを_c0168172_2303775.jpg
110.28 ホロゴンデイ33「2009年9月6日古町歩いて、ますます新潟が好きになった」28 なんと、ハミングを_c0168172_2304618.jpg

by Hologon158 | 2009-10-03 23:01 | ホロゴンデイ | Comments(2)
Commented by FSQ106 at 2009-10-04 09:11 x
昔、私の恩師の運転手役をしていたとき、客人をゴルフ場から東京駅まで送るときのことです。駅に近づくにつれ渋滞が激しくなると、恩師は車のCDにワルキューレを入れました。急に闘争心が沸き起こり、抜け道の連続で、予定の新幹線に間に合わせました。見送った後、首都高で帰宅すろときには、ダニーボーイに変わっていました。パープル色から夕闇に移り行く空を眺めながら、「もうゆっくり走ってもいいんだよ」との合図のようでした。速度を落とすと、恩師はハミングをしながら、今日一日の楽しかった思い出を振り返っているようでした。20年ちょっと前の思い出です。以前ブログで見せていただいたアイルランドの写真のような、スコットランドのHologonワールドは無いのでしょうか?あればよろしくお願いします。
Commented by Hologon158 at 2009-10-04 22:41
FSQ106さん
コメント、ありがとうございます。
なんだか含蓄の深いショートストーリーのようなお話ですね。
実は、私も音楽をFSQ106さんの恩師と同じように使うことがよくあります。
iPodに入れてある7000を超す音楽から、今、心をどうかき立てればよいのかを考えて、
選択するのです。
今から仕事というときは、元気のいい音楽を選びます。
たとえば、デューク・エリントンの「A列車で行こう」
疲れたときは、もちろん、二胡のやさしい音楽。
スコットランドは、以前の楽天ブログで掲載したことがあります。
ホロゴンワールドなんてものではなく、ただの旅写真ですが、そのうち、リバイバルするつもりです。
出したいものが行列を作っている状態なので、いつになるか分かりませんが、
気長にお付き合いください。