わが友ホロゴン・わが夢タンバール

136.10 ホロゴンデイ40「2006年5月3日、天理の山辺の道を一人で歩いていた」10 リズム、リズム!

揚琴の宿題「塔什瓦依」のリズムに未だに苦しんでいます。
今週月曜日のレッスンで、付虹先生とこんな言葉を交わしました。

    「前よりもちっともよくなっていない」
    「どうしたら、いいんでしょうね?」
    「頭を使ってください」

痛い言葉ですね。
このリズム、ウィグル特有のものだそうですが、
    強弱強弱弱弱強弱 強弱弱弱強弱弱弱
歌ってみますと、
    タウタウウウタウ タウウウタウウウ
これが伴奏のリズムで、付虹先生が弾くと、この「タ」の音だけがビンビンと響き、
それなのに、なお「ウ」の弱音も底流できちんと響いているのです。
右手はずっと弱音、左手が強弱を受け持つのですが、
要するに、左手はずっと小さく音を刻んでいなければならないのです。
先生、「右手で強を弾くと、左手もつられて、強になってしまっています」
楽器をおやりになる方なら理解していただけるはずですが、
弱音が一番難しいのです。
今日、宮本武蔵の「五輪書」に適確なアドバイスを見つけました。

     物事につけ、拍子はある物なれども、
     とりわき兵法の拍子、鍛錬なくては及びがたき所なり。
     (中略)
     諸芸・諸能に至りても、拍子をそむくことは有るべからず。
     また、空なる事においても、拍子は有り。
     (中略)
     ものごとのさかゆる拍子、おとろふる拍子、よくよく分別すべし。
     兵法の拍子において、様々(ようよう)有る事なり。
     まず、あふ拍子を知って、ちがふ拍子をわきまへ、
     大小・遅速の拍子の中にも、あたる拍子を知り、
     間の拍子を知り、背く拍子を知ること、兵法の専なり。
     この背く拍子わきまへ得ずしては、兵法たしかならざる事なり。
     兵法の戦いに、その敵々の拍子を知り、
     敵のおもひよらざる拍子をもって、
     空の拍子を知恵の拍子より発して勝つ所なり。
     いずれの巻にも、拍子の事をもっぱら書き記すなり。
     その書付を吟味して、よくよく鍛錬あるべきものなり。

空の拍子、なかなか分かりにくい言葉ですが、どうやらここに極意が潜んでいるようです。
ピタゴラスは、宇宙の基本ファクターはリズムであると見抜きました。
武蔵も自分の人生の全体験から、同じことを割り出したのです。
まるで「五輪書」には、拍子のことだけ書いていると言わんばかり。
私たちの命、存在の根本原理もまたリズムであると言えそうです。
命ある限り休みなく続く心臓の鼓動の凄さを考えると、
私たちは、いかなることをするにせよ、正しいリズムに乗って行うことこそ、
正しいやり方だということが分かります。
正しいリズムというのは、辛抱強いものです。
今日は、右手の弱音の練習から始めています。
要するに、少しずつ少しずつ、弱音に体を慣らしてゆく、
それも、正しいリズムを保ちつつ!

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by Hologon158 | 2010-02-11 16:39 | ホロゴンデイ | Comments(0)