わが友ホロゴン・わが夢タンバール

136.29 ホロゴンデイ40「2006年5月3日、天理の山辺の道を一人で歩いていた」29 人まねはやめよう

山辺の道、
私が奈良を終の棲家と定めて、約20年の間に20回以上行っているでしょう。
年に1回はかならず顔を出すことにしているのです。
年に2回行くこともあります。
飽きたことがありません。
奈良の偉大な写真家入江泰吉が傑作の数々を撮られた場所が沢山あります。
では、入江さんが撮った場所で撮るか?
と言いますと、そんなことはいたしません。
林忠彦にまつわる教訓を一つ知っているからです。
かつて林忠彦が長崎を撮って、写真集を作ったとき、
二科会のメンバーが数人お供したそうです。
林忠彦がコンタックスの愛好者であったことは有名です。
特製レザーバッグに、ボディ2個に、6,7本のレンズがずらりと並び、
30キロばかりあったというのです。
長崎のメンバーたち、無理して交換レンズをバッグに入れて、
林さんが85ミリを取り出すと、さっと自分も取り出し、
なんとか絞りの値を読み取って、林さんが撮ったその場所で撮ったそうです。
写真集が出来上がって、その作品を自分の作品と比較したとき、
まったく似ても似つかないほどに違って、
林さんの作品は、長崎の歴史を感じさせるほどの空気感と情感に満ちていたそうです。
道具は一緒なのに、結果があきれるほど違うのは、なぜでしょうか?
どこが違うのでしょうか?
写真はメカで撮るのではなく、心で撮るのだと言ってしまえばお終いですが、
私のような素人には、残念ながら、その意味はかいもく不明。
そんな私に、大写真家の秘密を推測できるわけもありませんが、
一つ言えることがあります。
道具が一緒なだけで、他はすべて全部まるで違います。
まず、動機、志が違います。
なんで、ここで撮るのか、分かっているところが違います。
センスが違います。
天分、技能、経験が違います。
同じシュタインウェイを弾いても、大演奏家と並の演奏家ではまるで別の楽器。
それと同じことなのでしょう。

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by Hologon158 | 2010-02-15 16:20 | ホロゴンデイ | Comments(0)