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158.41 ホロゴンデイ49「2009年12月12日しとしと古都奈良町に冬の雨が降り」41 あんまり素敵なので

158.41 ホロゴンデイ49「2009年12月12日しとしと古都奈良町に冬の雨が降り」41 あんまり素敵なので_c0168172_1153268.jpg
  
      
今日は、木曜日、休業日です。
ニュースを見ると、菅氏が後継首班に名乗りを挙げたそうですね。
この人、悪いけど、鳩山に劣らず口軽で、気迫は希薄。
とてもこのカオスに秩序をもたらせる人とは思えません。
また、次の迷走政権が始まるかと思うと憂鬱になって、
もう少し元気の出る話を読みたくなりました。
すると、見つかりました。

荘子の「天道編」にあるお話。
あんまり素敵なので、全文引用させていただきます。

    桓公が書物を堂の上で読んでいた、その堂下で輪扁(リンペン)が車輪を作っていた。
    輪扁は鎚と鑿を置いて堂にのぼり、桓公に尋ねた。
        「おうかがいしますが、殿様の読んでおられるのはどんなことですか?」
        「聖人の発言だ」
        「聖人は生きておられますか?」
        「既に死んでるよ」
        「されば、殿様の読んでおられるのは、古人の残りカスではありませんか?」
        「車輪作り風情が何を言うか。道理を通ったことを言うならば許してやるが、
         道理の通らぬことを申すと死罪だぞ」
        「私は、私の専門の事柄でこのことを考えました。
         車輪の軸を削るとき、ゆっくりしますと、甘くなって、強固になりません。
         早くしますと、きつくて入りません。
         遅からず早からず、そのちょうどいいところは、手が覚えておりまして、
         心がそれにぴったりとついていっております。
         が、口で言うことはできません。
         ぴったりとした勘所がそこのところにはちゃんとございます。
         それを私の子どもに教えることができません。
         私の子どももそれを私から受け継ぐことができません。
         だから、私はもう七十歳でなっているのに、
         老いさらばえても車輪を削っています。
         古人は、伝えることができないものとともに、死んでしまいました。
         されば、殿様の読んでおられるのは、古人の残りカスではありませんか?

あっと驚くような、人の心を貫く言葉ではありませんか?
あらゆるコミュニケーション、古今伝授、芸術鑑賞にあてはまる教訓です。
    ソクラテス、孔子、イエス・キリストの言葉を、
    私たちは金科玉条のようにして受け取っています。
    でも、受け取った言葉を私たちに解釈するのですが、
    それが古人の心のままか、真実、その深い意味を読み取ったか?
    誰にも分からないのです。
    芸術だって、写真だって、例外ではありません。
結局、自分の器に注ぎ込んで、呑むしかないのです。
    このことは絶対に忘れてはならない、一つの決定的な「限界」

鳩山さんの言動を見ていると、
    この人、自分の行動と自分の置かれた位置、
    そして世界を、とても狭い見方、とても自己中心的な見方でしか見ていない。
    ですから、私たちが批判していることが、鳩山にはまったく届かない。
一市井人ならそれが許されます。
    誰にも迷惑を与えないのですから。
でも、一国の首相となると、
    世界を世界の大きさそのままに、そして
    閣僚、スタッフ、国民、関係諸国の人間性と意図と状況とを等身大で、
    正確に把握しなければなりません。
それだけの大きな器を備えた人物でなければなりません。

政治家自身にも、国民にもそれが分かっていないのがもどかしい。
    あ、この人よさそうだ、きっとやってくれるに違いない、
    こんなフィーリングでこれまでなんど失敗してきたか?
    今回も、同じ失敗をくり返すことでしょう。
政治家も国民もそれぞれに反省すべきなのです。
    でも、誰もそんなことしないでしょうね?
    今回の出来事が鳩山一人の責任であり、首相が替わればすべて変わる、
    そんな気持ちで、軽く事態を収拾し、ひとまず満足することでしょう。

人生でつくづく教えられてきたことがあります、それは、

        人間って、経験から学ばない!
by Hologon158 | 2010-06-03 11:12 | ホロゴンデイ | Comments(0)