わが友ホロゴン・わが夢タンバール

174.39 ホロゴントラベル5「2010年8月ブロガーに曳かれて新潟参り」39 ただ者ではない


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昨日、午後1時半頃、飛鳥の岡寺近くの喫茶店で休憩しました。
    同行のDAさんが作ったばかりの写真集と、
    大阪中津での近作プリント10枚ばかりを拝見しました。
前にも書きましたが、
    この人ほどに突然写真の才能を開花させた人に出会ったことがありません。
    東京本社への、妻を自宅に残しての不本意な単身赴任と、
    本社残留への執拗な誘いを振り切っての大阪支社への復帰、
その間の3年間の苦しい人間経験がこの人に深みを加え、
    その人間が帰郷して本格的に写真を撮り始めたとき、
    写真が突然がらりと変わりました。

ご覧になっていただかないと、納得してはいただけないでしょうけど、
    どこに行っても、入魂の作品を作ります。
    どこから見ても、写真作家の作品です。
あたたかく、しっとりと情感に溢れ、意表を突くほどに落ち着きがあり、
    しかも、独創的です。
    筆を惜しむ作家で、1日歩いても、1本か2本。
    でも、その中に必ず数枚、とんでもない作品が混じっている。
    本当に不思議なほどに気持ちの良くなる写真ばかりなのです。
    月並みな表現ですが、あたたかな人物のあたたかな写真。

今回の写真集は「弘法市」
    数年間に撮り貯めた中から30数枚厳選して、
    これ以上ないほどに美しくプリントし、
    (7000円のプリンターで、見たことがないほどに見事なプリント)
    編集して、大阪の雲雀屋製本所で製本してもらい、
    見事な写真集に仕上げました。

製本所の担当者が、受け取りに行った彼にこう行ったそうです、
    「失礼ですが、写真を拝見させていただきました、
    私もペンタックスで銀塩で撮っていますけど、
    こんなに美しく撮られ、美しくプリントされた写真、
    はじめて観ました」

たった1冊の私家版ですが、どこに出しても恥ずかしくない出来。
    見開きは、縁なし全面プリントで、油滴天目茶碗(もちろん模造)が
    全面にびっしり並び、その3列目あたりにだけピントが来ている作品。
    そのしっとりとした漆黒のバリエーションを見ただけで、
    この写真家、写真集がただ者ではないことを教えてくれます。
    つまり、にくい演出。

作品はリズムがあり、クライマックスがあります。
    10枚ばかり、カルティエ=ブレッソンさながらの重厚なスナップがありました。
    画面の全部、両下隅から両上隅までもうこれ以上ないほどに
    厳しく切り取られた群像スナップ。
私は、彼が撮るのを幾度も見ているので、知っています。
    すっとライカM3を目に持っていって、構えて、
    あわてずさわがず、でも素早く1枚、それで終わり。
    気負いもなく、思い入れもなく、流れる水のようです。

私は、この人の写真展を観るのが夢なのです。
by Hologon158 | 2010-09-21 11:25 | ホロゴントラベル | Comments(0)