176.08 ホロゴン外傳9「2010年9月20日飛鳥に幻の彼岸花を求めて」8 エルマリート讃歌
WニッコールC28㎜F3.5に至る、私の28㎜レンズの歴史で、頂点はなにか?
そう尋ねられますと、もちろん、
エルマリート28mmF2.8(第1世代)
私の写真仲間には、第2、第3世代のエルマリートを使う方が、
なんと3人も居ます。
実はこれも当然なのです。
私たちの仲間で、いわば写真のメンター(導師)とも言うべき、
写真家の林孝弘さんのプライベート写真のメインレンズがこれなのです。
彼の縦位置、主に小都市で撮られたモノクローム作品群は、
意識的に人物の居ない場所を撮っているのに、
人々の存在と生活を感じさせ、空気感、情感に溢れて、
見る者に不思議な感動を与えるもので、
私たちに計り知れない影響と刺激を与えました。
私など、自分の写真の大半は、彼の影響なしには撮れなかった、
そう断言できます。
彼は独創的な芸術家、私はただの素人なのですから、
私はまさに彼の注いでくれる美酒をひたすら飲み干してきたわけです。
そのメンターの主力道具であるエルマリート28mmF2.8は、
至極当然ながら、私にとって垂涎の的となりました。
あれこれ考えました。
エルマリートには幾世代ものバージョンがあります。
それぞれに銘玉として知られていて、
各レンズの写りに区別が付けられるかどうか、怪しいものですが、
私には一種の強迫観念があります。
超一流のものを使いたい!
そうすれば、レンズを失敗の理由にこじつけることができなくなり、
しかも、銘玉の味わいが平凡な写真に味付けしてくれるかも知れません。
あれこれ探し回り、ついに見つけたのです。
これをライカM3に付けますと、もう究極のカメラ!
写りと言えば、なんだか第2世代、第3世代よりも、ぐっと古風。
でも、とんでもないほどにコクがあります。
これは、たいていのクラシックレンズの時代の流れに極めて沿っています。
つまり、レンズの歴史には一種独特の流れがあります。
癖のあるレンズから、癖のないレンズへ。
コクのある独特描写から、見事な精密描写へ。
エルマリート28mmのバージョンにも、この傾向がありそうです。
では、そんな第1世代を手に入れて、後悔しているか、ですって?
とんでもない!
私は、人間でもレンズでも、一癖も二癖もあるのが大好きなのです。
自分は癖のない人間なので、反対物の一致のような現象、
私はそう考えています。
by Hologon158
| 2010-10-02 00:19
| ホロゴン外傳
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