183.28ホロゴンデイ55「2009年12月12日奈良町の冬は侘びしくも濡れ」28 なに言ってるのよ!
NKさんが最近、アマチュア写真家のマナーについて書いておられます。
NK's PhotoBlog 「落ち葉」(10月30日午前8時51分投稿)
(http://k7003.exblog.jp/page/2/)
アップした当初、天下の公道なのに通行人を追い払って、
落ち葉を都合のいいように並べ直しているアマチュアを苦々しく思って、
落ち葉を並べ直すことは、「苦々しく思う」で自分がそこを立ち去るだけの話ですが、
通行人を追い払ってとなると、「批判」どころか「断罪」にまで及ぶ、
そうお書きになっています。
私も、マナー以前の人間性の問題だな、そう感じます。
よく言われることですが、温和しい人が車を運転しはじめると、がらっと人が変わる。
私の友人が外出しようと家を出たそうです。
すると、近くの奥さんが車で通りかかり、
「駅までお乗せしましょうか?」
とても美しくしとやかなご夫人で、友人も少し恋心を感じていた人。
夢見心地で、助手席に乗り込みました。
ちゃんと奥様がお出でになりますが、まあ、これ位は許してあげましょう。
しばらく行って、別の車が横合いからぐっと出ようとしました。
その途端、このご夫人、形相すさまじく、ひとしきりわめき立てたのです。
この格調高いブログふさわしくない言葉なので、割愛させていただきます。
友人、助手席で震えあがり、恋心もすっぱり失せてしまったそうです。
カメラマンも同じですね。
カメラを持った途端に、人が変わります。
他のカメラマン、通行人はすべて邪魔者、障害物に一変。
十数年前、たった一度、京都八坂神社での舞妓さん撮影会に参加しました。
これが最初で最後のモデル撮影会でしたが、なんと数百人が参加。
これが傑作、仰天ものでした。
「邪魔だ!」「どけ!」と怒号が飛び交ったのです。
美しいものに心をときめかす、美しい感性の持ち主なんてとても思えない、
どう猛なる風貌風体の、ちょっと獣じみたおっさんたちが、
高価な望遠ズームを付けたカメラを2台両肩に掛けてひしめきあいました。
この人たち、どう猛だけど、あまり写真のことが分かっていないですね。
講師、舞妓各一人の10組ばかりに分かれて、場所を次々と変えます。
私は、もちろん、さりげなく講師の側について移動します。
舞妓さんの側ではだめ、講師の位置がベストスポット。
講師が、舞妓さんと背景とを見て、場所を決めるのですから。
おっさんたち、ぞろぞろとおしゃべりしつつ、後についてきます。
適当な背景で、「ここにしましょう」と講師が声を出したときには、
私は、いつも舞妓さんの真っ正面、一番背景がよいところに居ました。
どう猛なおっさん達、200㎜、300㎜の望遠で背景をぼかすつもりなのですが、
群衆の間に混じり込みますと、どうしても前列のカメラマンたちが邪魔。
後列から「はよ、どけ!」、前列「うるさい!」と、怒号の応酬となるわけです。
自分がドジなだけなのに。
神社内を走るせせらぎを背景にしたとき、
観光客の女性が、背後の飛び石づたいに向こう岸にわたろうとしました。
とたんに、1人のカメラマン、わめきました、
「邪魔だあ! そんなところ、通るな!」
すると、その女性、くるっと振り向いて、
「なに言ってるのよ! ここは通り道じゃないの!
あんたに、そんなこと言う権利はないわよ!」
ブラボー!
そのとおり!
このカメラマン、撮る前に、勝手に絵を描いてしまう人なのです。
望遠でぼかせるのですから、むしろ、通行人だって活かせるなのに、
絵にこだわって、焦ってしまったのでしょう。
あんまりぎすぎすと殺伐な現場なので、撮る気が失せて、中途で抜けました。
神社から出ようとしたとき、やっぱり参加者らしい人に出会いました。
「もう止めですか?」
その30台のおだやかな風采の人でしたが、
ちょっと頼りなげにほほえんで、ぽつりと答えました、
「どうも怖くなってしまって...」
美しくない心で撮った写真でも、案外、美しいのでしょう。
コンテストに出したりして、賞をとったりするのでしょう。
でも、なんだか腑に落ちないですね。
それって、どういうことでしょうか?
それで、いいんでしょうか?
美しいものに出会って、
心が美しいものが満たされ、
その感動を美しい写真に記録する、
それが写真じゃないでしょうか?
[後書き]
今回の写真、いつもどおり、
最前列、植え込みから40㎝ばかりで撮りました。
怒号も罵詈讒謗もなく、
シャッターの静かなつぶやきが聞こえるだけ。
これがいい!
by Hologon158
| 2010-11-01 11:51
| ホロゴンデイ
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