186.04 ホロゴンニュース「ちびだけど、凄いレンズがやってきた!」4 ディオゲネスの樽
№1で、ペラール35mmf3.5の一つの側面として、
唐竹割りのように豪快に撮れるレンズとして紹介しましたが、
繊細、柔和な表情だって見せるのです。
今回の写真はそんな一面を出している感じがするのですが、
いかがですか?
ズマロン35mmF3.5とのガチンコ対決は、残り2セットを用意しています。
これがまた、猛烈に楽しいコントラストなのですが、
これは最後のお楽しみに残しておくことにして、
ひとまずは、今回を含めて8枚、ペラールの作例を楽しんでいただきます。
でも、お断りしておきます。
生まれて初めて、このレンズを使ったのです。
しかも、私は、15㎜専科で14年来た人間です。
35㎜はもう狭すぎるほどに狭い。
ですから、これらの写真がペラールの可能性、能力を尽くしているなど、
決してお考えにならないようにお願いします。
下手っぴいがおずおず撮ってみた、その程度の写真。
下手っぴいで、この程度の写真なら、
手練れの35㎜使いだったら、どんな作品ができるだろうか?
そういう風にお考えくださいね。
さて、昨日の大阪路地裏巡りに戻ります。
通天閣から北西方向に向かって、あてもなくさまよいました。
まったく常人なら撮らないような場所で、
常人なら絶対に撮らないようなものを撮っていて、
ふっと、笑いがこみあげてきました。
なんでだろう?
考えてみました。
そして、思いつきました。
ディオゲネス・ラエルティオスの心境なんだ。
有名なお話が残されていますね。
希有の哲人として知られたディオゲネスを、アレクサンドロスが訪ねます。
ディオゲネスは空き樽に住んでいました。
アレクワンドロスがうやうやしく尋ねました、
「あなたのためにできること、なにかありませんか?」
ディオゲネスが、大王を見上げて、そっけなく答えました、
「ちょっとそこどいてくれんか?
あんたお、日様を遮ってるよ」
連戦連勝の大王、自分を神に擬するほどに傲慢であったアレクサンドロスが、
一敗地にまみれて、すごすごと立ち去った一幕。
私は、哲人でも、高名でもありませんが、
ディオゲネスの生き方に大いなる共感を感じます。
どんな生き方にも、それなりの税金を払う必要があります。
名声を博したかったら、それなりに自分の魂を売り渡さなければなりません。
写真で言いますと、写真家としての名声を築き上げたとたんに、
その名声が写真家を崖っぷちに追い込みます。
その名声にふさわしい、そして、
これまで以上に優れた作品世界を創造しなければならない。
このプレッシャーが写真家を常時追い立てます。
誰にも知られず、誰にも評価されない人生なら、
他人になにか税金を払う必要はない。
№2で、「おしのび」で行ったなんて、冗談で書きましたが、
私が首から大きな名札をぶら下げて歩き回っても、
誰も知らないのですから、誰も気にしない。
透明人間とほとんど変わりませんね。
そんな存在であることが、こんな場所では無性に私を喜ばせます。
ですから、裏寂れた飲み屋街や連れ込みホテルの裏通りに、
平気で入り込んで、よしなきロボグラフィを撮れる。
たいての方にはご理解いただけない写真趣味ですが、
それもどうでもよろしい。
こういうのを、醍醐味と言います。
by Hologon158
| 2010-11-14 10:25
| ホロゴンニュース
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