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188.12 ホロゴンデイ56「2006年7月8日 京の北山はやっぱり夏がいい」12 ロボグラフィ分析官

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京、奈良を歩いていますと、
    ときどき、とんでもなく古びた土塀にぶつかります。
    全部、いいですね。
    寂寞の気配を漂わせて、
    そこはかとなく諦観の境地を感じさせてくれるからです。
ところが、北山でぶつかった土塀は、まるきり違いました。
    そのすべてから、気迫が感じられました。
        まだ百年は生きるぞ!

昔、読んだことがあります。
    CIAの写真分析官は、さまざまな写真を分析して、
    仮想敵国に関する無数の情報を一枚の写真から読み取るのだそうです。
私は、そんな分析能力はありませんが、
    写真からなにかかにかと想像するのは大好き。
    この写真など、そうした想像欲を激しくかきたててくれます。

ひとつ、試しにやってみましょう。

    この家のご主人は、かなりの老人なのです。
    家が家ですし、こんな土塀でも平気なのですから、
    かなり老巧老獪なくせ者老人。
    第一の可能性は、そのうえに、ケチ。
    第二の可能性は、ちょっとお金には困っている。
    こんな土塀を全部を塗り直すのには、
    かなり多額の費用が必要でしょう。
    そんな金はとても出せない。

    いずれにしても、ご主人、部分修復で我慢することにしました。
    でも、どうやら、ご自分でやっているようです。
    どうみても、下手っぴい、プロには真似のできない下手さ加減。
    でも、これでよいのだと考えている節がありますね。

    なぜって、修復個所の色合いから見て、5回か6回塗っているのですが、
    前の修復を隠して、シンプルにしようという気持ちが一切感じられないのですから。
    
    不思議なことが一つあります。
    どうして、色を変えたのでしょう。
    簡素を尊ぶ美意識の持ち主なら、色の選択はただ一つ、
        土塀の地色に似た色、これしかありませんね。
    ところが、どれ一つ、地色に似通っていない。

    1 ケチで、その都度、安いのを選んだ?
    2 それとも金に困っているので、とにかく安いのを選んだ?

    でも、この塗りの状態を見ていますと、
    いずれにしても、なにか深い事情があったのではと疑われます。
    もう一つの可能性が浮かんでくるのです。
        わざとじゃないの?

    最初は、純粋に修復の気持ちだったのでしょう?
    でも、2度、3度と重ね塗りをしているうちに、
    遊び心が出てきたのではないでしょうか?
    そこで、心になにか浮かんだ構想にしたがって、
    奇怪な形に塗り重ねてきたのではないでしょうか?

    ひょっとすると、土塀をキャンバスに見立てて、
    群像劇を描き出そうとでもしているのでしょうか?

    でも、それにしては、奇怪で見苦しいですね。
    とすると、このご主人、
        1 絵心が全然ない?
        2 絵心はあるんだけど、技術がからきしダメ?
        3 まだ未完成で、修復ついでに、長年月をかけて完成させる?
        4 それとも、これが彼の美意識による表現?

こんな風に想像を重ねて参りますと、
    近いうちにまた行ってみたい、そんな気分になりました。

こんな喜びをくれるのが、ロボグラフィ

    ロボグラフィは、2度も3度もおいしい!
by Hologon158 | 2010-11-18 12:25 | ホロゴンデイ | Comments(0)