わが友ホロゴン・わが夢タンバール

215.01 原発事故は自然災害か?

ニュースによると、こうです。

福島第1原発の1号機は11日の地震で自動停止したが、
冷却機能を維持する非常用ディーゼル発電機などが故障。
12日午前には冷却水の水位が低下し、
核燃料棒の一部が水面より上に露出。冷却が不十分となり、
核燃料の一部が熱で溶ける「炉心溶融」を起こした可能性があった。

原発は安全である、そう政府当局も電力会社も終始一貫して主張してきました。
あらゆる故障原因に対して対策が講じられており、
その安全対策は何重にも設定されている、そう説明されてきました。

ところが、今回の事故に対する説明はこうです、

「想定外だった」

「想定」とはなんなのですか?
勝手に起こりうる事故の可能性を見積もり、
それ以外は考えない。
想定される事故については、完全に安全である、
こういうことだったのです。

今回は、どうやら津浪によって、非常用発電機が使用不能になった!
つまり、津浪は想定外だった!
でも、よく考えてください。
東北海岸は、1960年にチリ大地震の大津浪で大被害を受けたのです。
幾度も、津浪被害を受けているのです。
日本は地震の本場であり、海中地震による津波は必然的な随伴現象なのです。

それを想定していなかった?

海岸線に設置するのですから、原発周辺に防波堤を設置するのは当然です。
でも、津浪は想定していないのですから、防波堤もなかったのでしょう。

想定していなかったことはおきましょう。
問題は、非常用発電機が故障する可能性は想定されていたか?
想定されていなかったらしい!

でも、安全対策は何重にも設定されている筈ではなかったでしょうか?
私は、安全対策の専門家ではありませんが、
素人でも分かります。
安全対策はツリー構造、ピラミッド構造でなければなりません。

1 原発故障
2 当該故障に対する第1安全措置(少なくとも2ないし3は必要です)
3 その各第1安全措置が機能しなかった場合の、各第2安全措置
4 その各第2安全措置が機能しなかった場合の、各第3安全措置

ところが、今回で明らかになりました。
最初の安全措置はたった1つしかなく、
しかも、それが機能しなかった場合の有効な第2安全措置などなかった!
非常用電源は1系統しかなかった!
これがダメになったときの対策は想定外だった!
アホか!
バカか!
その両方か!

地震国日本で原発は安全か?
この問題提起は最初の最初から激しくなされてきたのです。
それなのに、これに対する安全措置は完璧であると、
政府も電力会社も嘘をついていたのです。

なぜか?
上記のような安全メカニズムを準備するためには、
おそらく膨大な予算が必要になる。
だから、臭いものに蓋をした、そうとしか考えられません。

今後、日本国内のすべての原発について、
これまで勝手に想定外においていた規模、種類の自然災害に対する安全措置を、
もう一度、考え直す必要があります。

それにしても、いつも書いてきたことですが、
日本人ほど、うまくいかなかった場合を想定して準備すること、
これが不得意な民族はいないのではないでしょうか?
1つの可能性を考えると、それがうまく行かない可能性を考えることは、
敗北主義である、そう考えてしまい、思考が停止してしまいます。
そのうえ、経験から学ばない。

原発は不可逆的な大災害へのチェーンリアクションの引き金。
それなのに、このお粗末さ!
今回の原発事故は、断じて、自然災害ではありません。
防ぎ得た、人為的事故だったのです!

原子炉の溶融を止めるために、
今、どんな対策を講じているのでしょうか?
今朝、原子炉圧力容器への海水注入作業が完了し、満水になったそうです。
でも、それで溶融が停止するか?
停止できたとして、原発周辺の町での生活が再開できるか?
まったく予断を許しません。

菅首相は、溶融が開始した時点でなお、
知ってか知らずか、「安全である」と説明したそうです。
事態を理解もせず、必要な調査もしないで、軽々しく断言する。
この無能さは、目を覆いたくなるほど。

心配です。
by Hologon158 | 2011-03-13 11:07 | ホロゴンニュース | Comments(0)