わが友ホロゴン・わが夢タンバール

215.07 あきれた多重防護メカニズム

あきれかえったことというのは、原発の多重防護メカニズムのことですね。

政府は、原発になんの危険もない、幾重にも防護装置を備えているから、
もっとも安全な発電装置であると説明してきました。

その実態はどうだったか?
たった一つ、電源装置の故障で、メルトダウンに至ってしまったのです。

多重装置とはいったいなんだったのでしょうか?
どうやら、故障しないように、いろいろと工夫してある、
その程度だったようです。

「防護装置」とは、今回のケースで言えば、原発装置が故障して、
メルトダウンに至る一連のチェーンリアクションが始まったとき、
その連鎖反応を途中で停止し、故障修理後に、
原発としての機能を再開できるメカニズム、
これではないでしょうか?

このチェーンリアクションを停止させるための装置の一つが電源装置。
そんな装置が故障したら、
このチェーンリアクションを正常な防護システムでは停止できなくなる、
そんな部分が、いわゆる「クリティカルポイント」なのでしょう。
このようなクリティカルポイントがいくつもあるはずです。
そうしたクリティカルポイントには、必要な限り多重の安全機構を用意すべきです。
そうでなければ、メルトダウンへのチェーンリアクションを正常に停止できないからです。

原発の場合、通常の事故ではないのです。
メルトダウンの停止に失敗したら、
その被害はこの狭い日本全土に及ぶ危険があるのですから。
ところが、非常電源装置はたった2つしか用意されておらず、
その2つとも故障してしまったというのです。

故障の原因は問題ではありません。
想定外の原因で故障した?
そんなことは無関係です。
絶対に故障してはならないのですから。

システム設計者は、このようなクリティカルポイントについては、
必要と思われるだけ多くの多重保護システムを用意しなければなりません。
およそ通常想定される原因で故障が発生するとは限らないのですから。
したがって、設計者は、こう考えるべきです。

1 非常電源を2個にしたとして、2個とも故障するということはないだろうか?
2 ないとは言えない。
3 では、完全に独立し、完全に別ルートで導入される3個ではどうだろうか?
4  でも、3個全部が故障することだってある。
5 では、独立同等の防護システムを別にもう1系統、考えよう。

すべてのクリティカルポイントで、
同様の多重防護装置が用意されなければなりません。

ところが、実態はどうだったでしょうか?
非常電源は、2個もあればよいだろう、これで思考停止。
その結果、原発を二度と再開できないような非常手段で、
必死にチェーンリアクションを停止させることとなってしまいました。

多重防護装置というのは、こんなときのために本来あるべきではありませんか?
つまり、2個の非常電源が故障したら、もう非常事態というのは、
多重防護でもなんでもありません。
そのときは、ぜんぜん別の同等な防護システムを発動することができる、
これが多重防護です。

ところが、そんな防護システムなどまったく用意されていなかった!
そこで、「あれこれと試しています」ということになったのです。

お粗末、としか言いようがありません。
こんな設計者たち、こんな原子力政策の立案者たちに、
私たちは自分の命と国土の安全を委ねていたのです!
by Hologon158 | 2011-03-14 16:44 | ホロゴンニュース | Comments(0)