わが友ホロゴン・わが夢タンバール

226.04 ホロゴンデイ67「2011年3月7日東京4日目の朝は雪だった」4 バン!シャーン!



昨日、室生寺でもかなり沢山のカメラマンを見かけました。
全員例外なく、デジタルカメラでした。
私もライカM9を使っているのですから、今やデジタル派。

写真は、退職後にとりかかりやすいという最上の趣味ですね。
今までサラリーマンとして夢中になって仕事に熱中してきた人たちが、
今度は写真に熱中しておられるのです。
時間があり、熱意があり、そして装備も写真には最適。
押せば、なにかがびしっと撮れます。
夢の時代。

とくにスナップには最高ですね。
私のようなクラシックカメラを使う人間は、
たとえライカM9であっても、被写界深度を使わない限り、
かなりの熟練を要します。

作業手順がやや複雑だからです。

1 いいシーン発見!
2 カメラの絞りを決定
3 ヘリコイドを合焦したい被写体に合わせてまず動かす。
4 (3を省略してでもよいけど)ファインダーを覗き、構図を決める。
5 ヘリコイドを動かして、ピントを合わせる。
6 シャッターを押す。

2はあらかじめお気に入りの絞りにセットしておく手もあります。
でも、他の手順は省略できません。
クラカメの場合、作業のプロセスで、選択決断が必要であり、
かつ、カメラを構えてもすぐに撮れないために、
心理的に躊躇し、気後れし、
かつシーンの動きに遅れないように、焦ります。 

デジカメの場合はもっと簡単。

1 いいシーン発見!
2 ファインダーを覗き、構図を決める。
3 シャッターを押す。

デジカメの場合、自分の好きなスタンスが決まれば、
2はほとんど自動、ただ1と3だけで完了。
クラカメの場合のような心理的障壁がほとんどありません。

クラカメを使うからと言って、写真の才能まで保証はされません。
とすると、写真の才能のある人がデジカメを使うと、
鬼に金棒!

さりとて、私としては、べつに羨ましいとは思いません。
私にとっては、カメラに習熟して、写真を撮る作業を楽しむ、
これが写真の醍醐味なのですから。

そのうえ、私はスナップを撮りません。
人が私の近くにニアミスしたときだけ、
「据え膳食わぬは」式に、たなぼたをいただくだけ。

ですから、目も覚めるような傑作、秀作には無縁ですが、
どうせ人に見せる写真じゃなし。
昨日も、人がいないような場所で、人が見向きもしないものばかり、
800ショット、いつも「しめしめ」とご満悦で撮ったわけです。

子供の頃、アメリカの喜劇で、交響曲の練習風景を観ました。

シンバルと大太鼓の二人の老人、
楽譜を最初から一枚ずつめくりつつ、真剣に見つめて、
ずっと拍子をとり続けて、何十分が沈黙が続きます。
突然、二人で同時に「バン!」「シャーン!」
出番はこの最後のたった1回だった。
でも、二人は顔を見合わせて、にっこり。
余人には分からぬ喜びがあるのです。

私もかなり、この二人に近いようですね。
苦労して撮っているわりに、写真はありふれたものばかり。
でも、結果ではなく、撮る楽しみが極上。


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by Hologon158 | 2011-04-29 15:05 | ホロゴンデイ | Comments(0)