226.06 ホロゴンデイ67「2011年3月7日東京4日目の朝は雪だった」6 遍歴の人に?
あれこれとレンズを試してみたって、なんになるの?
この最後の自問には、しっかり答えておく必要がありそうです。
たとえば、ドン・ファンなんて、数知れぬ女性を遍歴して、
理想の女性を探します。
モーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」では、
従者レポレロの記録によれば、
イタリア640、ドイツ230、フランス100、トルコ90、
そして、スペインではなんと1003人、
合計2063人というのですから、大変。
15歳から30歳(どうやら若死のようですから)まで15年間としますと、
1年間に137人、1月間に約11.5人、つまり3日に1人以上、
これはまあ、忙しい人生でしたね。
でも、ついに永遠の恋人を見つけることはできなかった。
なんだか探し方に問題があった感じもします。
なにしろレポレロの報告によれば、
夏はほっそり、冬はふくふくの女性、というのですから、
女性の心を求める真摯な求道からかなり外れていますね。
でも、こんな風に書きますと、レンズコレクターの皆さん、
そうか、まだまだ集めたりないなと奮い立っておられるでしょう。
私は、コレクターではありませんが、
3年後の引退を控えて、レンズ試写を1つの楽しみにと、
思いついたのが約3か月前。
幸い、クラシックカメラ衰退の気運に乗って、
レンズも、昔では思いもよらぬほど廉価になりました。
一部のレンズは、昔は見向きをされなかったのに、
飛ぶ鳥を落とす勢いで、とても手の出せない雲上人ならぬ、
雲上レンズに成り上がっておいでですが、
さいわい私は、オーソドックスな名レンズで結構。
あれこれ試しはじめて思うことは、
これが意外に楽しいのです。
以前は、自分の写真世界の構築したいと念願して、
その基礎となる、道具としてのレンズを求めたりしたものです。
十数年前から、ただの写真好きのど素人に徹するようになると、
道具としてのレンズなど、いらなくなってしまいました。
ホロゴンを15年間愛用してきたのは、道具としてより、
むしろ伴侶、写真人生を楽しむ同伴者として。
ありていに言わせていただきましょう。
ホロゴン15mmF8に勝るレンズは、この世にはありません。
ホロゴン15mmF8を100としたら、
他のすべてのレンズは、マクロスイター50mmF1.8も、
ズミクロン50mmf2も、その他の超名レンズたちも、
私にとっては、10程度でしょうか?
でも、その10%レンズたちが、駄目は駄目なりに、個性的。
しっかり使ってあげると、楽しい歌を歌ってくれます。
まともに評価しようというのではありません。
まともに比較しようというのでもありません。
永遠のレンズを探そうというのでもありません。
ホロゴン15mmF8で写真を撮るのとはまた2味ほど違った、
心躍る体験を与えてくれるのです。
「小人閑居して不善を為す」という言葉がありますが、
「小生閑居して比レン(比較レンズ)を為す」ことにしたわけです。
明日は、春の飛鳥を楽しんできます。
さて、どんなレンズと遊ぼうかな?
by Hologon158
| 2011-04-29 18:35
| ホロゴンデイ
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