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228.29 ホロゴンデイ68「2011年4月3日奈良町をニューレンズが闊歩した」29 暗黒時代に生きる



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ヨーロッパに行きますと、さまざまな庭園があります。
たいてい実に見事な定形のパターンによって秩序づけられています。

それに対して、日本、韓国の庭園は不定形でナチュラルです。
歩行のパターンがこれによって決まります。

ヨーロッパ式庭園は、訪問者に歩く道筋を押しつけます。
それに対して、たとえば、日本式庭園は、
人の歩く道を大切にして、逍遥する人の視点を重んじて作られています。

歩く人はただ自然に散策を楽しめる、そんな優しさがあります。
歩く人が道のどこに立っても、周囲には目に優しい空間が広がる、
そんなたたずまいが大切にされているようです。

こうしたいわばナチュラルな庭園思想は、
欧米にもかなり影響を与えてきたように思います。
ガウディを含めて、20世紀以降のヨーロッパ美術はかなり様相を変えており、
アジアの流動的な形態を重んずる文化の影響なしには理解できないでしょう。

それと対照的なのは、
アメリカ政府がアルカイダの首脳ビンラディンを
どこまでも追いつめて処刑してしまったあたりの峻厳苛烈な制裁には、
アメリカの与えた世界秩序、パクスアメリカーナには、何人も侵犯を許さず、
秩序を乱したものはあくまでも制裁する、
という強烈な支配意識と警察思想が感じられます。

私の友人はこう言いました、

「アメリカは、自由民主国家だと思われているけど、大間違い。
かつてないほどの専制主義国家ですよ」

私も同感です。
多くの人がそれに気づいていないだけに、よけい怖い。

この専制国家が、もう一つの専制国家中国と、
世界秩序の支配を巡って、すでに格闘を繰り広げています。
多くの人がこのことにも気づいていないだけに、これも怖いですね。

中国の庭園を思い出してください。
民間の庭園は不定形パターンです。
しかし、中国歴代王朝の皇帝たちの宮殿も庭園は、
ヨーロッパとは趣がちがいますが、やはり定形を主軸にしています。
中国文化とその基本思想を与えた儒教思想も、
その根幹は秩序にあります。

つまり、現代世界は、米中どちらが勝利を収めようとも、
硬軟様々なバリエーションがあるとしても、諸国は、
支配国家の与える秩序の中に完全に畳み込まれて生きることになりそうです。

どちらの支配にも、ヒューマニズムなどかけらもありません。
おかしなことに、私たちが接することのできる人たちは、
どちらの国の人もとても魅力的で誠実。
でも、完全な官僚国家として機能する政府はどちらも実に非人間的。

はっきりと断言させていただきます。

現代ほど暗黒時代はなかった。
現代ほど、ヒューマニズムから遠ざかった文化の時代はなかった。

ヨーロッパ式庭園ではなく、
日本式庭園を尊ぶ文化が回復されることを願いたいですね。
不定形を尊ぶ文化には、情け、慈悲、憐れみ、共感を尊ぶ気風が残されています。
隔絶した価値観、世界観、宗教観がせめぎあう現代において、
互いの立場を尊重しながら協調する道を探るためには、
そんな文化にこそ一縷の希望が残されている、
そんな感じがします。
by Hologon158 | 2011-05-11 17:57 | ホロゴンデイ | Comments(0)