275.14 ホロゴンデイ77「2005年12月3日京都左京区あたりをホロゴンで」14 神経あるか?
我が家では、かつて購読していた新聞を残しています。
さまざまな包み紙として利用できるからです。
そんな利用をしようとして、記事を一つ見つけました。
文楽の中堅たちの座談会。
人形遣いの桐竹勘十郎(58歳)
父が人間国宝の二世桐竹勘十郎、
師匠が人間国宝吉田蓑助です。
いわば、人形浄瑠璃界のサラブレッド。
こんな風に語っていました、
つらいのは叱ってもらえないとき。
「あそこが悪い」「ここを直せ」と言ってもらえたらうれしいが、、
不機嫌そうに師匠が黙っているのが一番つらい。
どうしたらよいのか、あるとき意を決して聞きに言ったら、
「まだ早い」と制せられた。
また修業時代、師匠に、
「おまえ、神経あるか」と聞かれたので、
「はい」と返すと、
「なら、使い(使え)」と来た。
この最後の言葉が厳しいですね。
この師匠にして、この弟子あり、です。
細かいことを手取り足取り教えてもらうようでは、
まだまだなのでしょう。
蓑助は近世でも最高の名人の1人だろうと思います。
とにかく人形が生きています。
それだけでなく、匂うように美しいのです。
他の人形遣いとの違いがどこから来るのか、
まったく分かりません。
おそらく心からだろうと思います。
自分の魂を人形に吹き込むようにして、遣っている。
そんな大名人の師匠から、こんな風に教えてもらう、
勘十郎は幸せな人です。
30年ばかり見てきましたが、
段々と顔がよくなってきます。
ただの青年の顔から立役者の顔へ。
お父さんより、いい顔になってきました。
もうじき、人間国宝でしょう。
これからの文楽界を背負っていくだろう人ですが、
それだけの修業を積んで、それを骨肉としている。
使命の重みに耐えかねて、遊興に走る人も居れば、
どんどん大きくなる人も居る。
このあたり、伝統を背負う人たちに課せられる、
過酷なテストなのでしょう。
この人は、立派にテストに合格しています。
by hologon158
| 2011-10-16 22:12
| ホロゴンデイ
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