わが友ホロゴン・わが夢タンバール

302.06 ホロゴン外傳30「2012年2月11日マクロスイターが大阪天神橋フジハラビルに」6 地上の霜か


李白の「静夜思」という有名な名詩があります。

     牀前 月光を看る
    疑ふらくは是れ地上の霜かと
    頭を挙げては山月を望み
    頭を低れては故郷を思ふ

子供の頃、夜中にトイレに立った時のことを思い出します。

    トイレは中庭に面していました。
    私の子供の頃は、トイレに入っても、電気など付けません。
    廊下も電気など付けず、暗黒の中を歩きます。
    こんな少年時代を送ったので、
    闇を怖がらない人間になりました。

    トイレの窓から庭をのぞいたものでした。
    月光に白く照らされた庭はモノクロフィルムのようで、
    地面は白く光り、雪が積もり、あるいは霜が下りたようでした。
    いくら目を凝らしても、それが雪、霜か、それとも地面か、
    分からなかったことを思い出します。

李白の詩を初めて読んだときは、なんとも思わなかったのですが、
この詩の状況って、かなり変ですね。

李白はふと目が覚めたのです。
牀はベッドですが、土間の家でくつろぐ場所でもあります。
ハノイで、女子大学生の学生アパートに招待されて、
手作りのご馳走を頂いたことがありました。
誤解のないようにつけ加えておきますが、
ハノイで知り合った青年の恋人の部屋。
まさに牀が置かれ、その上にあがって、
ちゃぶ台のような小さな机で食事を頂きました。

李白もそんな牀の上で目を醒ましたのです。
李白は、床に射し込んだ月光を見て、霜かと想ったのですから、
真夜中。
しかも、霜かと想うということは冬なのです。
冬でない季節に、そんな錯覚をするなんて考えられないから。

視線を床に戻したとき、故郷を思ったのは、
故郷のなつかしい我が家でも、
同じ思いをしたことがあるからではないでしょうか?

でも、目を上げたら、
山が見え、月が見えた?

湖北省の安陸の妻の実家での詩作だそうです。
中国の冬は、李白が内乱から逃れて彷徨った長江あたりでも、
極度に寒かったはずです。
夜は、窓を完全に閉めたのではないでしょうか?
でも、それでは山も月も見えない。

よく分からない状況です。
どうやら、この詩、李白の詩的想像力の所産だったのではないでしょうか?



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by Hologon158 | 2012-02-17 02:03 | ホロゴン外傳 | Comments(0)