わが友ホロゴン・わが夢タンバール

315.04ホロゴン外傳38「2012年3月11日友あり、東より来たる(6)ヘラー編」4 ちょっと心配です



前回登場の写真をはじめたばかりの御仁、
ちょっと心配です。

まっとうで、正直な方でした。
ものがものにしか見えないなら、むしろ書道の方がいいのでは?

まずは、お手本をそっくりそのまま書くことから始まるのですから。
よく知りませんが、かなり上達すると、
こんどは、さまざまな伝統の書体を学び、
その書体で字を書く。
自分の独創の書体で書いてもよいのでしょうけど、
ほとんどでたらめで、見る価値がない。

写真は、ちがいます。
どこでなにを撮るか、どう撮るかは、お手本どおりには参りません。
自分の力ですべて選択し、決断して撮らなければなりません。
眼前の情景は、例外なく、写真になったとき、変貌しています。

    変身、変容、変貌、メタモルフォーゼ、これが写真の根本。
    この変化を予見し、予期し、期待し、想像する、
    これが写真の行為。

もちろん、私は、いわば写真にファンタジーを求める人間だから、
こう言うのです。

ドキュメンタリーの写真家なら、別のことを言うかもしれません。
でも、私はそんな写真家さんとも写真世界とも無縁で結構です。
ものとものとして、しっかり撮ったからと言って、
面白くないですね。

カメラは、スーパーマンスーツのようなものです。

ところで、スーパーマン、どこで着替えるのでしょうね?
トイレ?
常時、下着替わりに着ているのでしょうか?
それだと、脱いだスーツはどこに隠すのでしょうね?
それに、スーパーマンスーツ、年中着ていたら、
洗濯だって必要ですね。
自分でバスルームで洗濯して、陰干しするんでしょうか?
だって、Sの字が見えたら、まずいでしょうからね。

おっと、余談。

言いたいことは、こうです。

    カメラをもったら、ひたすら「目」そのものに変身して、
    これはと思うものを見つけたら、これはと思う撮り方で撮る。
    すると、思いがけないものが写っている、
    その意外性、予見不可能性を楽しむ、
    それが醍醐味じゃありませんか?

すべて予期したとおりに仕上がる、なんて、
全問正解を求める四角四面真面目一方の小学校の先生みたいで、
つまらないじゃありませんか?

小学校で、つまらない授業の最中、
鉛筆一本あれば、潜水艦に見立てて、
戦闘中の艦長に変身できた私は、
どちらかと言うと、厳粛で四角四面の稼業の何十年を経ても、
本質はまるで変わらずじまい。

と言いつつ、よく反省するのですが、
私の写真は規矩から抜け出ることのない秩序維持派みたいで、
ノーファインダーで撮っても、飛び抜けたところがまるでない。
心は、誰にも負けず想像豊かであると自負していても、
結果は、まっとうなプチブル的小スケール写真。

どうもいけませんね。


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by Hologon158 | 2012-04-08 14:07 | ホロゴン外傳 | Comments(0)