わが友ホロゴン・わが夢タンバール

402.15 ホロゴンデイ98「2005年7月4日 福井県梅浦の港は雨だった」15 交替!


コンサートホールで最前列を好むことはすでに幾度か書きました。
その理由は、

    日本の場合、目の前に座高の高い人が来る確率が高い!

自分のことはさておいて書いていますが、
私はできるだけ低くなるようにします。
でも、たいていの方は前にそそり立ちます。
今回も、妻の前に来てしまいました。
女性二人なのですが、右の方が20cm以上高い座高。
妻は平均的な身長ですが、かなり足の長い女性なので、著しく座高が低い。

さっそく妻は私と席を交換しました。
私は平均的な日本人なので、妻よりは対応できます。

    合唱なので、みなさん段の上の立ってくれます。
    幸い私たちの席は6列目で、いきなり一段アップしている部分なので、
    演奏が始まったとたん、座高婦人のことは忘れました。

この席交替でペロポネソス戦争の時代のことを思い出しました。

アテーナイとスパルタ、ギリシア最強の2国が覇権戦争を延々と続けた、
古代史における一つの山場。
この両国が正面切って戦ったマンティネイアの会戦のときのことでしたか?
両国は、同盟国の軍隊と一緒に布陣しました。

    スパルタ王は、アテーナイ軍が自軍の左翼の正面に位置したのを見て、
    スパルタ軍を右翼に配備しました。

当時のギリシア人は、最強の部隊を右翼に配置しました。
理由は簡単です。

    当時の主戦力は重装歩兵(ホプリテース)。
    すごい重さの甲冑に身を固め、右手に槍を持ち、左手で大きな盾を支えました。
    ということは、左側はしっかり盾で守られていますが、
    右側は敵の攻撃にさらされています。
    横長に大部隊が陣を敷きますと、右側は僚友の盾で守られていますが、
    最右翼の縦列は右に誰もいないので、攻撃を受けやすい。
    敵軍は全員盾に守られた左翼なので、心配なく攻めてくるからです。
    そこで、古来、右翼に最強の部隊を配置するのが慣例でした。

このときもその慣例に従ったのですが、
それを見たアテーナイ軍がスパルタ軍の正面に移ってきたのです。

    すると、スパルタ王はすかさず自軍の後ろを通って、スパルタ兵を左翼に移しました。
    アテーナイ軍も後を追ってきました。
    スパルタ王はまた右翼に戻る。
    二度繰り返して、とうとうスパルタ王は位置交替をあきらめ、
    戦闘に突入しました。
    結果的には、スパルタ軍がアテーナイ軍を潰走させて、歴史的な勝利を収めます。

このスパルタ王の行動を見て、スパルタ人を臆病だと思う人は古代には居ませんでした。
中国でもギリシアでも、3回の競馬を2勝する古来からの伝統を守っていたのです。

    自軍の一番遅い馬を敵の一番早い馬にあてる。
    自軍の二番目の馬を敵の一番遅い馬にあてる。
    一番早い馬を敵の二番遅い馬にあてる。
    このやり方です。

スパルタ軍は通例、敵の最左翼(二番目に強い部隊)にあたり、
たぐいまれなる衝迫力で、撃破し、
敵の中央部隊(一番弱い部隊)を横から攻撃する戦法が得意の型でした。
その間、敵の最強の右翼を自軍の二番目に強い部隊がじっと持ちこたえるのです。

日本軍は、どうだったでしょうか?

    第二次世界大戦の時、敵の勢力など無視して、
    精神を尽くせば、天が味方すると神頼みで無謀な戦いを挑み続けました。
    敵を知り己を知る、このどちらもしなかった。
    敵を知る必要はなく、己はひたすら神頼み。
    おかげで、とくに陸軍は快勝を味わうことなく、
    泥沼の戦闘に消耗してしまいました。

現場の将軍たちは、当然ながら、実戦を重ねて経験を積んでいます。
ところが、日本帝国陸軍は大本営が戦略、戦術を専断したのです。
現地を知らない、ただのエリート参謀たちは、
敵を知らず、己も知らず、責任もとらず、
机上の作戦と期待的観測だけに基づいて、戦争を指導し続けました。
スパルタ王とはまったく異なる精神構造。

この構造は今もなお変わっていません。
福島原発は今なお事故当時と同様の危機にさらされ続けています。
今政府の知るべきことは、

    現況がどうなのか?
    解決策があるのか?
    どうすれば、原発を完全に安全化できるのか?
    東電に安全化能力があるのか?

でも、政府も自民党も維新も、どの党もやりたいことだけを考えて、
現状を正確に把握し、未来を正確に予見することなど、しようとしない。
大本営とまったく同じ精神構造が日本をいまだに支配しているのです。
スパルタ王を見習ってほしいものです。




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by hologon158 | 2012-12-10 21:18 | ホロゴンデイ | Comments(0)