411.07 ホロゴン外傳101「2013年1月17日大阪平野で世界初公開レンズが花開く」7 何もないところに
ジョナサン・コット「グレン・グールドは語る」(筑摩書房)を読んでいます。
コットがグールドと電話対談をして、本にしたものです。
コットはノンフィクション作家で、グールドのファン。
彼の引き出し方がうまいせいもありますが、
才気煥発を絵に描いたようなグールドが縦横無尽に語ります。
コットは書いています、
グールドは音楽の探究者であって、
おのれの芸術の道を切り開き、それを知らせてくれる。
その道で、これまでわずかな人しか知らないものを見つける。
それができるのは子供の目と耳の持ち主だからである。
19世紀イタリアの詩人レオパルディはこう言った、
「子供は何もないところにすべてを見出すが、
大人はすべての中になにも見出さない」
グールドはまさにその意味での子供であった。
写真だって同じではないでしょうか?
風景写真であれ、ストリートフォトであれ、
あらゆるものたちが私たちを待っています。
写真クラブの撮影会でよくこんな言葉を聞きました。
「先生、なにを撮ったらいいのですか?」
これは写真撮影のためのものの見方を知らないからです。
こんな頼りないことを言っていた人が、
2、3年経つと、誰もが仰天するほどの傑作を撮らないとは限らないのですから、
写真って面白いですね。
このように成長して、卵の殻からバンと抜け出す人には、
ある種の共通点がありそうです。
写真に対する愛情
好奇心
ものごとを追求する忍耐心
集中力
志
負け惜しみ
眼力
決断力
そして、最後に、道具にではなく、目と心を信頼する。
このカメラじゃダメだから、カメラを変えてみよう、
こんな方(ここにも一人いますが)は見込みがありませんね。
ほんとに変えるべきなのは、道具ではなくて、
ご本人なのにね。
by Hologon158
| 2013-01-21 14:30
| ホロゴン外傳
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