わが友ホロゴン・わが夢タンバール

413.20 ホロゴン外傳102「2012年11月23日キノプラズマート25mmf1.5は佐保路に遊び」20-完-佐保路消失



杜甫の「春望」は誰もが高校時代に学んだ歌ですね。

    国破れて山河在り
    城春にして草木深し
    時に感じては花にも涙を濺ぎ
    別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
    烽火 三月に連なり
    家書 万金に抵る
    白頭 掻けば更に短く
    渾て簪に勝えざらんと欲す


第二次世界大戦でぼろぼろになった日本人たちが
心の拠り所にしたのも、この詩のとおり、
日本の山河、海の自然とその自然に包まれた故郷でした。

でも、昭和30年代から連綿と続いてきた地上げと、
公共投資と宅地造成の波は、都会近くの自然と故郷を
怒濤の奔流で押し流してしまいました。

    韓流ドラマでも、渡米した韓国人女性の子が、
    母の故郷、家を訪ねるシーンがありました。

    行き交う車の流れの中、交差点に立って、
    途方に暮れた表情で、
        「たしかこのあたりなんだって、聞いたんだけど.....」

佐保路も私が奈良に定住した約30年前は、
写真家入江泰吉が数々の名作をものした大和路の一つとして、
静かな古墳と古道と部落が点在する故郷でした。

今、行くたびに道が増え、
住宅地が大和路の面影を消し去ろうとするかのように、
文字どおり増殖し拡大しています。

故郷というものは、人間の心の中に育まれる思い。
でも、その思いを育てるよすがとなる自然と古道がなくなれば、
記憶は遠のき、いつしか心の中から消え、
そんな故郷のわずかな記憶を残していた人が世を去ってしまうと、
ただの住宅地に生まれ育った人には故郷なるものは、
今ここにある灰色の住宅街だけになってしまいます。

アシモフのファウンデーションの帝都トランターのように、
何百層の地下だけに人が住む、自然のかけらもない都市空間だけが、
日本人の居住地、故郷になってしまうのでしょうか?

    千数百年保たれていた自然と故郷を消し去った現代日本人は、
    後世にどんな遺産を残すのでしょうか?




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by Hologon158 | 2013-02-02 10:20 | 未分類 | Comments(0)