417.10 ホロゴン外傳103「2013年1月19日 千林商店街でゾンネタールソフトが一暴れしたよ」10 時間の勝負
風景写真家はよくロケハンをします。
沢山の撮影ポイントをストックし、
もっとも美しくなる季節、時間、天候、撮影位置を考え、
撮影に向かいます。
いつも成功するわけではありません。
天候が期待に添わないときもあるでしょうし、
周辺のバックグラウンドがそぐわないことだってあるでしょう。
大判写真家となると、一日の撮影量は限られています。
ほんの数枚、ときには一枚の収穫に満足します。
ロボグラフィとはまったく別世界の芸術行為。
ロボグラフィに限らず、ストリートフォトは違います。
その日、どこでなにが待っているか、まったく予測不可能。
よくこんな言葉を耳にします、
「ああ、ここは美しい和服姿の女性がほしい」
こんな絵作りをする人はむしろ風景写真に向いているでしょう。
出たとこ勝負、ありあわせで済ませるのがストリートフォト。
人類学で、古代人の仕事をこう表現した人がいます、
「ブリコラージュ」
クロード・レヴィ=ストロースが「野生の思考」で創始した概念ですが、
材料の準備や制作なしに、かつ理論の裏付けもなしに、
自分の創意工夫を活かして、
ありあわせのものでなにかをいきなり作り出す。
ストリートフォトもブリコラージュなのです。
その場にふさわしい季節、時間、天候、撮影位置などありません。
ストリートフォトはストレートフォトなのです。
ああ、ここでは光が欲しいとか、
夕方に来れば、もっとよいものが撮れるだろうな、
などという思案をする人は、絵作りをかんがえています。
そんな思案がある限り、路傍のものたち、ひとたちに、
ダイレクトにぶつかって写真を撮ることができません。
絵になる写真をいつも考えているからです。
偉大なストリートフォトグラファーは、
皆さんストレートフォトでした。
風景写真は油絵であり、
ストリートフォトは水彩画なのです。
どちらも時間との勝負ですが、
風景写真は大きなタイムスパンでの勝負、
ストリートフォトは小さなタイムスパン、瞬間の勝負。
by Hologon158
| 2013-02-18 15:15
| ホロゴン外傳
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