わが友ホロゴン・わが夢タンバール

419.21 ホロゴン外傳104「2013年2月23日 難波、心斎橋をスーパーアンギュロンまかり通る」21 閑寂の境



千住博さんは個性についても、面白いことを言っています。

    「私は個性的だから」と言っている人が
    個性的であったためしはありません。
    ただ癖っぽく、わがままで、思いこみが強いだけなのです。
    逆、「私は個性的でなんかない」と本気でそう思っている人は、
    とんでもなく変わった作品を作ったりしますので、いわば要注意。

    大切なのは、普通の人が見て、
    何で今までこれがなかったのだろうと思えるような、
    切り口の独創性ということです。
    良いものはすべてずっと前からあってもおかしくないと思われるような、
    そんな普通で確かなものです。
    今までなかった、それに気づくということ。
    その切り口を見つけ出すこと、これが大切です。

こんな風に当たり前のことをお書きになっているようで、
言葉の中身は当たり前ではありませんね。

私が素人に徹する気持になったのも、
そんな切り口を見つけるほどの眼も個性も独創性もないことを
ちゃんと弁えていたからです。
とても自分には無理だ、だから、高望みはやめて、
自分の力の範囲内で独り楽しもうと決意したわけですが、
それ以来、のびのびと写真生活を楽しんでいます。

大体、独創的と言われるのは、
よほど並外れた作品を陸続と生み出すアーチストだけ。
おいそれとは見つからない個性がしみ出すような人だけ。

銀塩の時代には、媒体は写真展、写真集、写真雑誌に限定されていました。

    私のようなありふれた写真は当然ながら、門外不出。
    「素人写真は見られたものじゃないのだから、
    他人に迷惑をかけないように」と厳しいお達しだったわけです。

ところが、ブログというものは、人が見ようが見まいがお構いなし。
写真発表の媒体にもなるけど、日記にもなります。
まさに、新時代のツール。
ある意味で、独創性のない人間に開かれた、大いなる可能性なのです。
ありがたいことです。

ただし、まぐれ当たりは決して期待しないようにしましょう。

写真発表のメディアを利用して、ネット界に雄飛せんものと意気込んだけど、
実情は、あえなく不発で、訪ねる人もまばら、
結局、閑寂とした日記の地位に甘んじる人はいても、
日記のつもりで作って、かなりの人気を呼ぶなんてことは、
決して起こりませんからね。

結局、独創性のあるなしは誰にでも分かることであり、
独創性がないのに、人の注目を呼ぼうと考えるのは、
とてもとても難しいことなのですね。

    女性写真家で鳴らした秋山正太郎に面白い話があります。
    どこかの雑誌のグラビアは、美女たちと机を挟んで向かいあい、
    おしゃべりをして、モデルさんの気持をほぐしながら撮ったそうです。
    ある家元で一時はテレビ界でも有名だった方を撮っているときのことです。
    しばらく撮っていて、ぽつりと言ったそうです、

         「美人でもないのに、テレビでがんばるのは、なかなか大変だろうねえ」
             (正確な言葉は忘れましたが、これに近い意味の言葉だったはず)

そんなことを言われないように、
お互い、ほどほどにしましょうね。




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by Hologon158 | 2013-03-08 22:36 | ホロゴン外傳 | Comments(0)