わが友ホロゴン・わが夢タンバール

440.12 ホロゴンデイ103「2006年7月8日 6年前、ぼくはホロゴンで北山界隈を撮っていた」12 無事これ名馬



風邪はかなり軽減しました。
夜間、咳に煩わされることもなく、ぐっすり寝ました。

今朝、あんまり調子が良いので、出勤の途中必ず渡る大交差点を、
数十m手前で青信号であることを確認し、
思わず走ってしまいました。

東西2方向の車道にはかなりの車が停車していますので、
その手前、横断歩道の途中で走りやめるのもなんだかと、
無用に見栄を張ってしまい、走り抜けました。
それから5分位歩いて、職場の古ビルは4階建てなのに、エレベータなし。
職場の3階まで上って、悟りました。

    走るんじゃなかった。
    なんだかぐったり。
    平静に復するのに、小一時間かかってしまいました。

昔、世界のバイク選手権で世界一を10年ばかり続けたチャンピオンがいました。
たしか、マイケル・ドゥーハンという人だったと思います。

    この人、絶対に無理をしない。
    ライバルたちがどんなに猛烈に走りまくって、平然。
    ひたすら自分のペースで周回を重ねます。
    ダイナミックなドラマがサーキットで展開します。

    1、2位のデッドヒート、
    見事な追い抜き、
    突然の転倒で宙を舞うドライバー、
    ドゥーハンは我関せずといった風情で、じっと自分のペースを護ります。

    一人倒れ、一人離脱し、一人失速、
    そんな風にライバルたちが次々と姿を消し、
    気がついてみると、ドゥーハンが先頭を走っている。
    そして、無事一着ゴールイン。

無事これ名馬、という言葉があります。

小田原攻めのときの話です。

    秀吉の将兵たちが小川にかかる小さな石橋を眼下に休息していました。
    折しも徳川家康が堂々と名馬に騎乗して通りかかりました。
    東海一の馬乗りの誉れ高い武将です、
    秀吉の将兵たちはどんな風に石橋を颯爽と駆けわたるか、固唾をのんで見守りました。
    すると、家康、石橋の手前で馬から下り、家来に馬を牽かせてわたらせ、
    自分はなんと家来におんぶしてもらってわたったのです。
    秀吉の将兵たちはさんざんに笑い転げました。

でも、家康は平気だったでしょう。
というより、わざとやったのかもしれません。
自分がどんな些事もおろそかにしないことを見せつけるために。

十字軍に逆のお話があります。

神聖ローマ帝国皇帝のフレデリック・バルバロッサ(赤髭王)も出陣しました。
ヨーロッパで一二を競う勇者として盛名をほしいままにしていた武将です。

    全身甲冑に身を固めて、
    動く砦のような重装備の騎兵隊を率いて出撃した途中、
    膝までほどしかないかなり浅い流れの川にさしかかりました。
    中世騎士たちの馬は、現代のサラブレッドのような細身流線型ではありません。
    小山のような堂々たる体躯で、足はギリシア神殿のよう、
    蹄は30センチほどもある超巨大の安定感あふれる巨馬たちでした。

    私もアイルランドの農場で、クライスデール種の農耕馬に出会ったことがあります。
    ガッパガッパと蹄は大地を揺るがし、
    肩の高さは2mほどもあって、近くに寄れば全身を一望できず、
    ただただあきれて見上げるばかり。
    その姿はまるで象でした。

    そんな巨馬にフレデリックもまたがっていたのでしょう。
    ちろん浅い川なんて物ともしないで、
    川を押し渡ろうと、全騎だっとばかりに乗り入れたのです。
    事故が起こったのはそのときでした。
    バルバロッサのまたがった馬がなにかに足をとられて転倒し、
    バルバロッサは川にどうと投げ出されてしまいました。
    介助の役を果たす従者たちはどうやらはるか後方に遅れていたのでしょう。
    馬から下りることもできない家臣たちの眼下で、
    バルバロッサは重い甲胄に邪魔されて起き上がることもできず、
    そのまま水面下に横臥したまま、溺死してしまったのです。

バロック時代にその情景を描いた絵が一枚あったと記憶しています。
「上手の手から水が漏る」の諺どおりの出来事。

    私は家康という人間がどうも好きになれません。
    マイケル・ドゥーハンもファンになりたいような人物からほど遠い。
    でも、毎日を律して、成功のために全生活を注ぎ込む姿勢が
    この二人に共通しています。
    真似はできないけど、真にことを成す人間というのはこういうものでしょうね。





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by Hologon158 | 2013-06-12 21:21 | ホロゴンデイ | Comments(0)