わが友ホロゴン・わが夢タンバール

443.05 ホロゴンデイ104「2008年3月22日 ホロゴンウルトラワイドは信貴山詣で」5 正しい思考


ルクレティウスが「物の本質について」を書いて、
原子論をしっかりと理論化したのは、
イエス・キリストが出現する直前、おおよそ70年ほど前のことでした。

キリスト教は、その母胎となったユダヤ教とともに、
神による天地創造説をとってきました。

    その時期については各説さまざまですが、
    基本的には約6000年前というのが基本的前提でした。
    ルネサンス期までこの前提を疑うキリスト教徒はいなかったのです。

日本神話の天地開闢についても似たような事情にあります。

    神の数代後裔の神武天皇が大和朝廷を開いたのは、
    今から3000年を超えない時代なのですから、
    天地開闢もそれからそんなに巨大な時間を隔てているわけではないようで、
    奇しくもキリスト教、ユダヤ教徒と似たようなタイムスパンで、
    この世界を考えていたわけです。

ところが、このキリスト教以前のルクレティウスは、こう考えていたのです。

    この宇宙は果てしない時間の経過の中で、
    原子のさまざまな結合の試みを限りなく繰り返してきた。
    今こうして存在するものたちは、そのような試みが成功した例である。
    そのような成功のための設計者も、設計図も存在しない。
    神の創造物ではなく、すべては偶然の産物である。

現代の科学が到達した認識をすでに紀元前1世紀に、
純粋な思弁によって到達していたのです。

    ルクレティウスの前には、
    古典ギリシア以来の哲学者たちの世界認識と思弁の方法の伝統がありました。
    とりわけ、原子論の先達デモクリトスを初めてとする学問の伝統を礎にして、          
    ルクレティウスは自由に思弁を飛翔させたのです。

中国やインドでも、宇宙のタイムスパンはギリシア同様に広大でした。
ヨーロッパでは、キリスト教以前の古典を異端の書として切り捨てることで、
正しい思考への道を自ら閉ざした結果となりました。

哲学でも科学でも、学問ならすべてそうですが、
偉大な巨人の肩に乗った小さな人間は、巨人より遠く見えるという言葉があります。

    キリスト社会は、その巨人の肩からわざわざ自分で滑り降りたようなものでした。
    そのために、古代ローマの哲学者が到達したレベルにたどり着くために、
    千数百年以上近くかかってしまったのです。

自由な思弁、思考活動が物事の本質を見抜くためにどんなに大切か、
学問の伝統を守るということがどんなに社会の進歩のために大切か、
この一事だけでも分かるのではないでしょうか?





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by Hologon158 | 2013-06-18 21:19 | ホロゴンデイ | Comments(0)