502.21 ホロゴンデイ115「2014年2月15日 ホロゴンαウルトラワイドは大阪梅田で華麗に」21 運命の出会い
那和秀俊著「写真家と名機たち」(彩流社)
楽しんでいます。
偉大な写真家たちが自分の作品作りにどうカメラを活かしているか、
一応理解できます。
ただし、名機が作品創造にどんな風に役立ったか、
という、私が一番知りたいあたりについては、
ほとんど突っ込んだ記述、分析がないのが残念です。
そのカメラで撮った写真作品を使って、
作品創造にどう機材が貢献したかを語って欲しかった。
たとえば、ドロシア・ラング。
大恐慌による失業者たち、移民たちを撮った、
ドラマチックなドキュメンタリー作品群が有名ですが、
グラフレックスという大判一眼レフを駆使したのだそうです。
グーグルで画像検索してみると、ちゃんと写真があります。
古めかしいジープの屋根の上にグラフレックスを抱えるラング。
赤ちゃんを抱えるほどに大きなカメラです。
触ったことがありますか?
私は同形式の6×9判なら触ったことがありますが、
カメラ上部の接眼部の構造をメキメキと立ち上げて、
両目を接眼部にぴったり付けて、ファインダーを上からのぞきます。
その眼前にぼんやりと靄のように立ち上がる像。
ファインダー像からしてアート。
でも、6×9判でもでかすぎて、使える代物ではありません。
ローライ二眼レフが人物ポートレートに愛用されるのは、
カメラマンがモデルにお辞儀するようにして、
カメラを上からのぞく姿勢なので、モデルを緊張させないから。
グラフレックスもそんな効果があったのではないでしょうか?
有名な移民の母と子どもたちの写真も、
お母さんはレンズを見ていません。
なんの希望ももてない暗黒の未来をじっと見つめています。
ドロシア・ラングだって、たとえば、ライカを使えたら、
喜んで駆使したことでしょう。
でも、おそらく手近で見つかったのがグラフレックスだった。
ところが、そのカメラがラングに傑作創造のチャンスを与えてくれて、
人生を切り開いてくれたのですから、幸せな出会いだったようです。
私だって、ホロゴンウルトラワイドと出会ったのですが、
作品創造のチャンスを与えてくれたわけではなくて、
私がそれまでもっていたオブセッション、つまり、
人が認知する立派な写真作品、傑作を撮らなければ、価値がない、
そんな固定観念を粉みじんに砕いてくれました。
人がなんと思おうが、自分の撮りたいものを撮りたいように撮る、
それが自分の写真人生なんだ、そう悟らせてくれました。
これもまた運命の出会いなのでしょう。
私はそう信じています。
by Hologon158
| 2014-02-27 10:56
| ホロゴンデイ
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