504.02 ホロゴン外傳132「2014年3月1日 ビオゴン35mmF3.5Prewarは大阪福島でご機嫌」2 名機との出会い
那和秀俊「写真家と名機たち」(彩流社刊)を読んでいます。
がっかりしています。
どんな写真家だったか?
どんな機材を使ったか?
この2点はわかります。
でも、肝心な点が残されています。
写真家は愛機に出会って、どう変わったか?
どんな独創的な写真世界を開くことができたか?
この一番知りたい点については、ほとんど触れられていません。
著者はおっしゃるかもしれません、
「そんなこと、言われなくてもわかってる。
でも、そんなこと、本人に聞かないとわかるはずないじゃないの?」
でも、カルティエ=ブレッソンをはじめとして、
写真家たちは愛機との出会い、出会いが引き起こした創造の火花を、
自伝その他の書物で書いたり語ったりしています。
写真家が愛機に出会ってどんな方向に自分の才能を爆発させたか
作品を見ればわかることもあります。
たとえば、アンセル・アダムズであれば、
彼の独創の露出法、ゾーンシステムは8×10判の大きな焦点板上で、
何点ものポイントを測光することで成立しました。
ビル・ブラントは、警察用監視カメラの超広角レンズを使って、
そのレンズでしか撮れないようなパースペクティブ、視点、形、歪みを使って、
古今独自のヌード世界を生み出しました。
篠山紀信もかなり彼の影響を受けていることは、写真から明らかです。
道具が作家独自の視点を用意し、
独自の作品を創り出してくれることがあるのです。
そのあたりをもっと掘り下げてほしかった。
プロアマを問わず、どなたも、
どんな写真を撮るか、どう撮るか、苦心惨憺しています。
いや、心配ないよ、あとでフォトショップで加工すれば、
お望みの独創的な写真が生まれるよ、そう豪語する写真家たちが登場しています。
このような操作が行きすぎると、自分の写真作品ではなくなってしまいます。
もちろん、芸術性とは無縁となってしまいます。
そんな「独創」写真は写真史には残りません。
ストレートフォトだけが人間の魂を揺さぶるアートとなる可能性を持っています。
そのような志を心に燃やす写真家たちに、
ブレークのきっかけとなるようなヒント、アイデアを与える研究であってほしかった、
そんな気持ちがして残念。
by Hologon158
| 2014-03-11 13:28
| ホロゴン外傳
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