わが友ホロゴン・わが夢タンバール

616.13 ホロゴンデイ149「2015年8月29日雨の名張でホロゴンMが嬉々とウィンク」13 グレン・グールド



あなたは生涯にどの音楽を一番よく聴きましたか?
私ははっきり分かっています。
グレン・グールドが弾く、
バッハ「ゴールドベルク変奏曲」
これですね。
1980年でしたか、グールドの最晩年に録音したバージョン。

ヤマハのピアノを選んだのだそうです。
豪壮絢爛の味付けがなく、
ハープシコードにかなり親近感のある
タイトなサウンドだったからかもしれません。
それとも、当時すでに彼は人知れず症状に苦しみ、
より軽快に弾けるピアノをさりげなく選択したのでしょうか?
どちらにせよ、またはどちらでもなかったにせよ、
1955年の若々しい客気あふれる疾風怒濤の初録音とは大違いに、
大人びた落ち着きに満ちた演奏。
それが私の心を落ち着かせて、平安の境地に遊ばせてくれます。

彼は1982年に亡くなったのですから、
今年は没後33年です。
よく考えてみますと、
私はレコードを愛するようになってから、
かなり長い間オペラのような声楽ばかり聴いていましたから、
その後交響曲を聴くようになり、
さらにその後で器楽曲に関心を拡大していきました。
とすると、私が彼の演奏をレコードで知ったときには、
すでに亡くなっていたのかもしれません。
それなのに、彼のバッハに魅せられてしまうと、
もう後戻りはできません。

彼のビデオやDVDはかなり販売されています。
そんなビジュアルなメディアでグールドの語る姿を見るにつけ、
さらに彼に魅せられることとなりました。
彼はきわめて聡明な人間です。
これほどに聡明な人間は、
幾人かの科学者をのぞくと、他にほとんど知らないほど。
物事の本質を直観的に理解できる、そんな稀な理解力の持ち主なのです。
要するに、ものごとの本質が本当に分かっている稀な人間。
ホワイトヘッドやヴィトゲンシュタインがそうでしたし、
ダ・ヴィンチ、シェークスピアがそうでした。
古代では、アルキメデス、トゥーキューディデース、
ソクラテス、プラトンがそうでした。
このような人たちの仕事はそのことをはっきりと証明しています。

このような本当の意味での「賢者」に接する体験を重ねることができることは、
訳の分からない人間がこの世界を我がもの顔に切り回している現代では、
奇跡的な悦楽です。
グールドの音楽は、そのような本質を見抜ける人間だけが見せる、
精神の離れ業の証明のようなものです。
そのおかげで、彼は私がもっとも愛する人間の一人なのです。




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by hologon158 | 2015-10-06 11:51 | ホロゴンデイ | Comments(0)