わが友ホロゴン・わが夢タンバール

626.14 ホロゴン外傅155「2015年12月12日大和路ならPetzvalにお任せ」14 天才



人間だけではないのかも知れませんが、
なぜか天才としか言いようのない才能を発揮する人が居ます。
悲劇のヴァイオリニスト、渡辺茂夫もその一人。

近頃、彼のCDを手に入れました。
「アヴェ・マリア」など神々しいとしか言いようのない絶品。
不思議です。
どうして12歳ほどの少年に
このような霊感に満ちた演奏ができるのでしょう?
遺伝子?
アートの才能が遺伝子によって伝えられるなんて、
ありえることでしょうか?
文化的環境?
そんなもので才能が芽を吹くなんてことも、
ありそうにはありません。

どうしてある人にはそんな才能が備わっており、
ある人には備わっていないことが分かるのでしょう?
これこそ偶然かも知れません。
もしかすると、誰にもなにかの才能が備わっているのかも知れません。
でも、チャンス、偶然がその才能を引き出さない限り、
眠っているのかも知れません。

この世には開花しないまま人生を終えた未知の天才が
数知れずいるのかも知れません。
もしかすると、あなただって、私だって、何かの天才かもしれない。
いや、そんなことはないかな?

それとも、天才は必ず自分で殻を破って姿を現すのでしょうか?
なにかをしたいという欲求が突然頭をもたげることがあります。
昨日までは考えたこともないようななにか。
これは天才が殻を破ろうとしているのかも知れません。

でも、これには都合の悪い証明が一つあります。
私もそんな風にやりたいという突然の欲求がもたげたことが
数知れずあります。
でも、何一つ天才が現れたことがありませんね。
まだ、私の天才領域は明るみに出ていないのである、
負け惜しみにそう申し上げておきましょう。

渡辺茂夫はまぎれもない天才でしたが、
その天才を完全に開花させることなく、倒れてしまいます。
世界的ヴァイオリニストとして歴史に残ったかも知れないのに、
惜しいことです。

12月28日月曜日、付虹先生の揚琴レッスンに向かう電車内で、
この記事を書いています。
ウォークマンはディヌ・リパッティのラストコンサートを奏でています。

この人も夭折の天才としてあまりにも有名な人です。
現代には、リパッティを軽く凌ぐテクニックのピアニストは
掃いて捨てるほどいます。
ピアニスト志望人口が空前に増加しているせいもあるでしょう、
教育法が発達したせいもあるでしょう。
でも、どんなにテクニックがすごくても、
というより、すごくなればなるほど、そうなのかもしれませんが、
本物の芸術家たちを超えることはできない。

深く感じる心がテクニックを駆使することと、
人を驚かせるテクニックが貧弱な心をさらけだすこととの間には、
天と地とほどの差があることに気づいてほしいものです。

渡辺茂夫やリパッティには不思議なほど豊かな心が音楽を紡ぎ出す、
そんな雰囲気があります。
名声や富を求めて激しく競いあう限り、無縁の境地かも?
それに気づいて、音楽そのものの泉の中に身も心も沈潜させない限り、
音楽史に名をとどめることは無理でしょうね。

渡辺茂夫のCDには、在米中の挨拶が収録されています。
元気に留学生活を楽しんでいると述べる言葉とは裏腹に、
かぼそく繊細そのものの声。
最後の「さよなら」という一言。
その後の悲運の後半生を考えると、涙なくしては聴けません。
天才にはなりたくないものです。




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by hologon158 | 2015-12-28 22:59 | ホロゴン外傳 | Comments(0)