わが友ホロゴン・わが夢タンバール

630.02 ホロゴン外傅157「2015年1月9日ペッツヴァールが近江八幡をさらりと」2 カラーに転向



モノクロームからカラーに転向して、なにが起こったか?
ぜんぜん写真が撮れなくなったのです!

カラーらしくなるのに、少なくとも5年かかりました。
(ただし、今でもモノクロームを引きずっていますが)

なぜか?
理由を教えてくれる人も居ないので、苦しみました。
と言っても、ただの遊びの中でも苦しみなので、
まあ、大したことはなかったですが。

私は仕事でも、くだくだ悩んだりせず、
ただただ進め、進め!で一生通した人間なので、
専門でも遊びでも奥義に近づくことなどついにできなかった人間。
そんな人間にしては、一番悩んだ時期かもしれません。

そして、だんだんとわかってきました。
モノクロームとカラーでは、
もの、空間の見方、つかみ方がぜんぜん違う!

カラーでは、ともかくリアリティがそのまま眼前にあります。
すぐれたレンズを使ってもなかなか難しいことですが、
目は正確に色を認識し、これを写真に再現しようとします。
ところが、モノクロームは、実景と写真とはまるで違います。
さまざまな色が白から黒までのグラデーションのどこかに収まりますが、
色付きで見ている目のグラデーションと、
モノクローム写真のグラデーションはまったく違います。
濃い色なのに、モノクロームでは浅くなってしまうものもあれば、
浅い色と見えるのに、モノクロームでは深く沈むことがあります。
カラー写真では、ものたちがそのままの色と形で収まりまるのに、
モノクローム写真では、さまざまな面と線とが交錯し入り交じり、
別種の空間構造が浮かびあがるのです。

私がカラーに適応しにくかったのは、
私が知らぬ間に、実景をモノクローム画像に変換して認識する、
そんな視覚習慣を付けてしまっていたからなのだと分かったのです。

当時も今と同じで、私はどんな写真を撮りたいか、
あらかじめ心の中に絵を描いたりしません。
予期も予感も期待も絶対にしない。
その場にぶつかったなにかを撮る、それだけ。
いきあたりばったり。
でも、その場の光景がどんな写真になるかは、
即座に認知できるようになっていた。
でも、モノクロームに適した光景とカラーに適した光景は違うのです。

私がカラーで最初撮ろうとしていたものは、
モノクロームイメージだったのです。
カラーイメージとはまったく一致しないので、
撮れた写真はいつも当て外れになってしまったわけです。
そんなずれをなんとか克服するまでに少なくとも5年かかりました。
そして、幸運の女神が微笑んでくれました。
まさにそのころ、私はホロゴンウルトラワイドに出会ったのです。
それからは、ホロゴンのカラーを追い求めるようになりました。

だから、私にはカラーとモノクロームを使い分ける
いうような器用なことはできなかったようです。
それを自然に使い分けることができるのは本物の写真家だけ、
私はそう信じています。

アマチュアの方が時にはモノクローム写真を撮っても、
私には、ただカラー写真をモノクロに変換しただけ、
としか見えません。
たしかに画像は白黒なんだけど、
モノクローム写真の言葉を読みとることができない。
色がごちゃごちゃしてるので、モノクロームに変換してみただけ。

モノクローム写真は、白から黒までのダイナミックな処理と、
面、線の大胆な組み合わせが作り出す音楽。
カラーが交響楽だとすれば、
モノクロームは無伴奏チェロなのです。
まるで同じものじゃない。

吉田正さんの写真教室にモノクローム専科の女性がおられます。
この方はすでに5年以上モノクロームだけで撮って来られました。
もちろんデジタルカメラなんだけど、
最初からモノクローム設定でお撮りになっています。
だから、同じモノクローム写真でも、
近頃拝見するアマチュアのモノクロームとは一線を画する、
切れ味と深み、異次元の作品性が次第に備わりつつあるようです。

もしあなたがカラーとモノクロを使い分けたいとお考えでしたら、
一度よーく自分の胸に問いかけてみてください。
自分は両方の異種の認識を使い分ける能力があるかどうか?
なければ、モノクロームもカラーも「どっちつかず」、
というレベルに低迷する危険が潜んでいるかも知れません。

遊びなら、どうだっていいのです。
どんどん使い分けて、写真を楽しみましょう。
でも、もし本気で写真を撮りたかったら、
悪いことはいいません、
そんなことは止した方がいいですよ。




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by hologon158 | 2016-01-29 12:13 | ホロゴン外傳 | Comments(2)
Commented by korekazu at 2016-01-29 12:59
前記事と併せて大変興味深く拝読しました。
モノクロとカラーの相違は正にその通りだと膝をうつ思いであります。
一時期カラーとモノクロを撮り分けていた時期があるのですが、現在はモノクロのみになったのはカラーで撮ることがどうもしっくりこなかったからでした。
両者は別物だということがよくわかりました。
Commented by hologon158 at 2016-01-29 14:23
korekazuさん
超高速オートフォーカスのデジタル一眼レフから入った方は、
カメラやレンズや撮り方での苦労が、
銀塩で長い間苦労した人間に比べて、
何百倍も高速に一定のレベルの写真を撮れますので、
自分に才能があると思い違っている方がどっさりいます。
だから、私のような永年苦労に苦労を重ねてもまだろくに撮れない人間の言葉など、
バカにして、本気で受けとろうとしません。
だから、とても嬉しいコメントでした。
ありがとうございました。