わが友ホロゴン・わが夢タンバール

639.04 ホロゴン外傅162「2016年5月16日真打ちスピードパンクロ50㎜郡山参上!」4 珠を持てば



空海の語録を読み直しはじめたことは既に書きました。
さっそく写真好きにはたまらない名句が一つ見つかりました。

    珠を持てば、善念生じ、
    剣を把トる、殺心の器

水晶の玉を手にしてじっとのぞき込むと、
心がだんだんと澄んできて、
美しい心で人生を生きたくなるけど、
名剣を手に入れたりすると、
ついにはなにか命あるものを切りたくなってしまい、
心は荒んでしまうおそれがある。
写真家に悪人はいない、などと言うつもりはありません。
どんなものでも、使い手の心次第ですね。

これだけ譲歩した上で、我田引水。
どなたも体験がおありでしょう。
あまたある珠のうちで、どんな人でも手に入れることができるのが、
写真レンズ。
そして、写真用レンズほどに美しく磨かれた大きな珠はあまりありませんね。
私も夢中になってしまいました。

その最初の宝珠がヤシカコンタックスのレンズたちでした。
とくに次の3本は巨大レンズでした。
    ディスタゴン15mmF3.5
    プラナー85mmF1.4
    オリンピアゾナー180mmF2.8
レンズ径がすべて超特大。
    ディスタゴンが85mm(実は失念、推定で記載)
    プラナーが67mm
    ゾナーが72mmF
おそらく各焦点距離のレンズとしては
史上初めての大きさだったでしょう。

その後、その後、もっと口径は小さいけど、
もっと美しいレンズをたくさん手に入れました。
スーパーアンギュロン21mmF3.5もその一つ。
黒く深いレンズのたたずまいは異世界への窓のようでした。

でも、極めつけは、私にとっては、やっぱりHologon15mmF8。
ある人が感に堪えない表情で告白したことがあります、
「ホロゴンを見つめていると、舌でペロリとなめたくなる」
こうなると、ちょっとサイコの世界に足を踏み入れてしまいそう。
私はそのような気持ちになったことはありませんが、
朝目的地に降りたって、
バッグから出したホロゴンの目をのぞき込んだ途端、
まさに気分は、make my day!

私のブログでご覧になって、
ホロゴンから生まれる写真がこれか?
汚いじゃないの?
そうおっしゃるあなたはもう少し心を磨いた方がよろしいようで。
光る珠だけが美しいんじゃないし、
美しく輝いている人間が必ずしも美しい心をもつとは限りません。
日々の心をすり減らす「下女仕事」で全身汚れきり、
疲れきったシンデレラは、それでも内に美しい心を育て、
その瞳をのぞき込んだら、誰も及ばないほどに清らかに澄んで、
きらきらときらめいていたことでしょう。

レンズも同様ですね。
見かけと、そのレンズが映し出してくれるイメージとは
おそろしくかけ離れたレンズがいっぱいあります。
まさに人間界とこのあたりもそっくりなのです。
こんなレンズシンデレラを見つけるのが、
クラシックレンズで写真を撮るのが好きな人間にとっては、
最高の醍醐味ですね。

私の愛するレンズたちの中で、シンデレラに近い存在は、

    パンタッカー50mmF2.3
    スピードパンクロ35mmF1.5
    キノプラズマート19mmf1.5

とりわけキノプラズマートは、正式には3/4inchレンズですが、
ebayのたった1枚の写真はレンズ筐体が歪んだ感じで、
錆だらけ、ゴミだらけという風情でした。
いったん売れたのに、また舞い戻ってきたようで、
再び同じ形でオークションが再開しました。
あまりの汚さに買い手がクレームを付けてキャンセルしたらしい。
おかげで、ほとんど競争なしに、破格の価格で落札できました。
到着すると、本当に写真通りのみじめなジャンク風。
でも、サンプル写真のように歪んではいませんでした。
私にはマツモトカメラの松本さんという強い味方がいます。
さっそくオーバーホールをお願いしました。
帰宅したキノプラズマートの筐体はメタリックに輝き、傷一つなく、
瞳ならぬレンズもキラキラと輝く美少女でした。

日本文学上もっとも高貴優雅に輝く女性は誰でしょう?
私には紫の上と思われます。
その宮廷最高の貴婦人に育つであろう、と、光源氏が見初めた、
幼い頃の若紫そこのけの変身でした。
こんな風にしてレンズとおつきあいできるのは、
クラシックレンズ好きの特権かもしれません。

ここで記憶すべき教訓は、だから、
光る玉だけが宝珠ではない、ということ。




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by hologon158 | 2016-05-29 11:00 | ホロゴン外傳 | Comments(0)