わが友ホロゴン・わが夢タンバール

659.04 ホロゴン外傅176「2016年9月10日ペラール17.8㎜に奈良町を任せてみた」4 創造的な決断



人間って、ちょっとしたことで、ある種の真実を悟るようですね。
きっかけはこうです。
突然、ミニコンサートに出演することになったのです。
付虹先生のグループとして揚琴コンサートに出たとき、
一人の音楽家と知り合いました。
そのSHさんからお電話をいただき、
「私が伴奏しますので、
リコーダー二重奏でミニコンサートに出ましょう」
「とんでもない、まだ始めて1年なのに!」
ということで、出演を承諾してしました。
(あれっ?
かなり中抜けがありますね。
でも、どうしてこうなったか、自分でも思い出せません。
とても明るく気持ちの良い方なので、
彼のペースに乗せられてしまったのかも?)

でも、私の415の古いピッチのデンナーは使えません。
SHさんお持ちのリコーダーは440だからです。
そこで、30数年前に数年独学したとき購入して、
そのまま30年間、転居数回の間、
ずっとそれぞれの私の書斎の本棚に裸で転がったまま、
ついぞ弾くこともなかった、
440のアルトとソプラノのリコーダーを使うことになりました。

昨年来、リコーダーを再開したときは、
リコーダー熱再燃のきっかけとなった友人AKさんから、
彼が昔愛用していたドルメッチの415のアルトを頒けていただいて、
これを使っていたのですが、
時折メックも取り出しました。
でも、ボーボーと取り留めのない、スカスカの音。
こりゃ、ダメだ。
と、その都度、二軍に逆戻り。

でも、今回はもうこれしか頼るものはない!
覚悟を決めて、毎日毎日、選んだ3曲を練習し続けてきました。
私がAKさんの斡旋で名人杉原広一さんに作っていただいた
スギハラ・デンナーは、
とんでもない位すてきな音で鳴るのですが、
これを途中で弾くと、ボロのメックを使う気持ちが失せます。
デンナーをセーム皮に丁寧にくるんで、棚にしまい、
(つまり、リコーダーケースさえない)
メック一本で約1ヶ月練習を重ねてきました。

すると、不思議なことが起こりました。
メックのアルトはグレナデイラという黒く重い木でできています。
素人用としては、かなり上等な楽器なのです。
でも、ボーボーと空っぽみたいな音でした。
それなのに、だんだんと音が締まってきたのです。
私がリラックスして吹いているせいもあると思います。
使わないで乾燥しきっていたのに、
使って、段々と湿気が本体にしみ込んでいったせいかも?
小ホールとはいえ、コンサートホールにちゃんと音が通るのか、
どんな風に響くか、
まるっきり予断を許しませんが、
とにかく気持ちよく音が出せるようになってきました。

メックのソプラノはパリサンダーという軽めの木ですが、
こちらは美しい木目が出て、30数年も経つと、外観はかなり美しい。
でも、音はまだ軽い。
あと1ヶ月少しの時間があります。
ちょっとでもアルトの身の詰まった音に近くなってほしい。
そのためにも、ひたすら吹くだけ!

こんな風にして、親友のAKさんの評価では、
「箸にも棒にもかからない」「オリジナルとは似ても似つかない」
現代のコピーでも、私にちゃんと喜びを与えてくれること、
こんなささやかだけど、自分の身の丈にあった発見をする日々を
今送っています。

どうもいけませんね。
通人でもないのに、なにかと熱狂的に収集してしまうという、
弱いところがあるようです。
近頃では、クラシック萬年筆。
100本以上買いあさってしまいました。
結局分かったことは、本当に使いたいのは、そのうち数本だけ。
あとはどうしようもないコレクションを抱えてしまいました。
この数本だけ見つかっただけでも良しとすべきだ、
という考え方もあります。
でも、今更ながら遅いのですが、私は字が下手なのです。
下手が最高の書き味の萬年筆を使ったら、どうなるか?
下手な字が書けるだけ!
だから、使うことがほとんどないままに。

私は、字が下手なのに、文書をひたすら書く職業についていました。
そこで、文書作成のメカ探しに狂奔しました。
カタカナタイプライター、
巨大な邦文タイプライター、
業務用ワープロの草分け、文豪15D(150万しました)、
マッキントッシュSE30で生涯の方向が決まりました。
その後はずっとマックプロを幾度も買い換える人生。
字は下手だけど、タイピングは上手。
だから、生涯、字を書きまくってきました。
でも、肉筆はメモ帳にしか書かない人生ですから、
芸術的なビンテージ萬年筆も、今では、哀れ、鑑賞用。

第2の人生に入って、そんな贅沢は一切できなくなりました。
クラシックレンズも、百数十本集まってしまい、
私が使いきれない、私とは無縁の名器たちが
乾燥ボックスに空しく眠っています。
この分野では、すでに同種の決断を実行しています。

ニューレンズを買うのはよそう!
もうレンズ試写は、手持ちのお気に入りたちと、
宮崎貞安さんから依頼されるニューレンズだけに止めよう。

今朝、メックのグレナデイラで、
かなりやさしい3曲のバロック、ルネサンスの二重奏曲を練習して、
はっと悟りました。
自分がどの程度のものか?
この程度なんだ。
要するに、ただの素人なんだ。

AKさんは、ルネサンス楽器をオリジナルもしくは、
それに一番近い杉原さんのコピーで楽しんでおられる、
まさに通人です。
でも、今回の体験でつくづく悟りました。
そんな私が通人を真似してどうするの?
自分らしく生きなきゃ!!!!!

メックのグレナデイラ体験は私に貴重な決断をもたらしてくれました。
三流の楽器ですが、三流の人間にはこれで十分。
これでいいじゃないか!
もう最高のものを求めるのはやめよう!
萬年筆と一緒。
手に余り、実力を十分発揮することなどできないでしょう。
今あるもので、楽しむ、
それが賢明な人間のとるべき道ですね。

私は、いつも書いていますが、
「継続は力なり」を信奉する人間です。
山中鹿之助は、毘沙門天でしたか、神様の一人に、
「我に七難七苦を与えたまえ」と祈ったとか、子供の頃読みました。
私が祈るとしたら、
「我に決意を継続する力を与えたまえ」
これですね。

実は杉原さんには、
さまざまなリコーダーの歴史的名器のコピー制作をお願いしていたのです。
スティンズビーJr.のアルトリコーダー(異次元のサウンドなのだそうです)、
テルトンのソプラノリコーダー(ブリュッヘンがオリジナルを使っています)
ルネサンス時代のF管アルトの名器のコピー。

杉原さんはさまざまな分野のプロのために、
さまざまなお仕事をなさっている方です。
よほどの暇がないと、おそらく私以外の多数の方からも依頼がある
オリジナル名器のコピー作業にはかかれないでしょう。
だから、私の依頼ももちろん実現の可能性がかなり薄いものでした。
そうする間に、今回の悟り。
今はっきりと分かりました、
私には完全に過ぎた名器ばかりだ!

すでに作って頂いたデンナーで十二分に一生楽しめます。
メックのでたらめコピーでさえ、
たった1ヶ月吹き込むだけで、かなり化けてくれるのです。
スギハラ・デンナーは、入手以来どんどん音が変わってきました。
コンサートが終わって、デンナーに戻ったら、
きっとびっくりするほどよく鳴ってくれるでしょう。
メックでさえ、1ヶ月でかなりよくなるとすれば、
デンナーを10年使い続けたら、どうなるでしょう?
そう考えただけで、体がゾクゾクしてきます。
この喜びだけでも、人生の最大の贅沢の一つ。
(もう一つは、もちろん、ホロゴン!)

2016年9月26日、実に創造的な決断ができた、
私はそう確信しています。
狭い道は集中を高めるという意味で常に正しいからです。
善は急げです。
ただちにAKさんにこの決断をお伝えすることにしましょう。
「いつか本当に気が向いたときに、
デンナーのピッチ440用の換管だけはお願いします。
あとは全部、夢を見たと考えて、製作の依頼を取り下げます。」
そうお願いすることにします。

こんな風に書いていると、
だんだんと数日来ひいていた風邪が治ってきたみたい、
と言いつつ、せき込んでいる私ですが、気分は晴れ晴れ。
創造的な、そして自分にぴったり合った決断をしたときは、
いつもこんな風に清々しい風が吹きますね。

よし、午後は、心を澄ませて楽器を練習しよう。
実は、本日は午前中大阪で付虹先生のレッスン、
午後は大和西大寺で陳少林先生の揚琴伴奏レッスンと、
月2回の揚琴レッスンの梯子日だったのですが、
とてもそのエネルギーはないので、お断りしました。
幸い、揚琴、リコーダーともに、できるだけ脱力をして弾くべき楽器。
その点はすべての楽器に通じるでしょうけど、
ピアノ、トロンボーン、チェロ、いろいろな楽器は、
体力も絶対に必要ですね。
私は、かなり軽快に使える楽器で幸運でした。
まず最初に到来するのが、揚琴のコンサートなので、
まず、揚琴の練習、
その後で、今や愛器となったメックの2本で、リコーダー二重奏の練習、
その合間に暇を見て、ブログ。
こんなスケジュールで自宅静養をいたしましょう。

と、再び咳き込みつつ、ワクワク。




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by hologon158 | 2016-09-26 17:07 | ホロゴン外傳 | Comments(2)
Commented by pretty-bacchus at 2016-09-27 04:03
マッキントッシュSE30!
なつかしいですね〜〜〜〜!

Commented by hologon158 at 2016-09-28 22:59
pretty-bacchusさん
SE30は私の人生を変えてくれました。
あの9インチの画面に絵を描いたり文字を入力したりして、
「これがあれば、天下をとれる!」
ところが、天下をとるどころか、一人野党の党首的人生に。
でも、やっぱりSE30に出会ったことを後悔したことは一度もありませんね。