わが友ホロゴン・わが夢タンバール

659.05 ホロゴン外傅176「2016年9月10日ペラール17.8㎜に奈良町を任せてみた」5 不空羂索観音



随分昔になりますが、9月7日水曜日、
初めて東大寺美術館に入りました。
三月堂のご本尊の不空羂索観音とその脇侍の日光、月光菩薩が移されています。
以前に、仏像にはお堂の中に正しい立ち位置が定まっているらしい、
だから、美術館に移すのはまちがっているのでは、と書きました。
東大寺には申し訳ないけど、
この美術館で、その疑問は正しかったのじゃないか、
という気持ちになりました。
すばらしい美術館です。
でも、三月堂では、観音様たちはお住まいになっていました。
修理工事中の一時的な転居のようですが、美術館ではただの陳列品。

まず、分厚い保護ガラスの中に納められました。
これを見た途端、
「アチャー!!!」
4枚のガラスの継ぎ目が丁度観音様とお二人の菩薩様の真っ正面!
誰がこんなこと許したの?
観音様、菩薩様の身になって考えたことがあるの?
ずっと目の前にガラスの合わせ目をつきつけられながら、
過ごすんだよ!
信者さん、観客の身になって考えたの?
信者さん、真剣に合掌して、見上げると、観音様ではなくて、
「ガラスの合わせ目様」がそそり立っている。
「目出たい」という言葉そのままに、
あきれかえって、目が飛び出てしまいます。
誰が決めたんじゃ!??
誰もそれはおかしいって言わなかったの????
あんたたち、信仰あるの?
無神論者の私でも腹が立って腹が立って!

そのうえ、仏様を浮かびあがらせる照明が基本的にトップライトだけ。
なぜか、それでも観音様と日光さんはまずまずしっかりと浮かび上がります。
でも、私にとっては、世界で最高の立体造形芸術の一つである月光さん、
鼻の下をちょこっと黒くして、とても影の薄い存在にされてしまいました。
三月堂では、この三体の像はもっと低い段の上に、
そして、私たち観客にもう少し近くお立ちでした。
斜め上からの光で、うっすらと影がつき、美しさを際だたせていました。
遠く離れた美術館ではまったく味わえない、
いきいきとした迫力で私たちに迫ってこられたのです。
日光、月光両菩薩の魅力は、
とても繊細で微妙な表情の豊かさ、やさしさにあります。
こんなに遠くに立っておられると、この表情が全然見えないで、
私たちのことなど、関心ないという我関せず風の表情に一変しています。

不空羂索観音は、三月堂では、堂々とそそり立ち、
まるで魔教の主神のように、異界のたたずまいを生み出していました。
対照的に、その左脇においでになった月光さんが、
むしろ清らかに浮かびあがりました。
まさに月光に照らされたかのようなすゞやかに澄み切ったたたずまいが
私たちの心から澱を洗い流してくださるようでした。
そして、かなり私たちの視線に近い高さだったので、
月光さんの比類なく美しいお顔が、
合掌しておられる両手が、私たちにすっと近づいてきて、
なんとも親しみ深いのに、なんとも超越的な存在として、
私たちをやさしく包み込んでくれたのです。
たしか照明などありませんでした。
ギリシアの神殿と同じです。
窓、天井からの自然光が浄玻璃の世界を出現させてくれたのです。

係員の説明では、「コントラストを付けるように工夫したのです」とのこと。
ああ、コントラストの問題じゃないですよ!
浄玻璃の光明の中に菩薩様たちが聖なる姿を現された、
そんな気持ちに見る人に味あわせるにはどうしたらよいのか、
それを考えなきゃ!
三月堂ではそれができていた。
だとすれば、せめてあの雰囲気を美術館の中に再現するよう努力しなきゃ!

心配になりました。
東大寺のお坊さんたち、ほんとに信仰持っているんだろうか?
だったら、こんな美術品陳列に成り下がってしまうことを
どうして許したんだろう?
もう2度と行きません。
むしろ記憶に残る月光さん、日光さん、不空羂索観音の
お姿を想起することにします。
なんだか人間の心が思っている以上に深刻に貧困化しているんじゃないかな?
そんな感じがしてきました。
三月堂修復完了までの一時の宿りだったら、
信者たちが信仰のために美術館を訪れることを考慮して、
むしろ三月堂そのままに再現するとか、
なんとかして仏堂らしいたたずまいを設計するとかして、
信者たちの心を温めて上げるように配慮すべきではありませんか?





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by hologon158 | 2016-09-27 01:11 | ホロゴン外傳 | Comments(0)