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676.04 ホロゴンデイ191「2016年12月10日ホロゴンが四条河原町を一掃」4 入江泰吉


入江泰吉は「気配の写真家」と言われています。
「気配」
難しいですね。
大和路の情景を撮って、現代ではなく、
万葉集の時代の人々の息吹を感じさせるあたりに、
入江さんの真骨頂があったようです。

入江さんは、おそらく土門拳同様、銀塩写真の寿命を考慮して、
出版物としてご自分の写真世界を残したいとお考えだったようです。
数知れず写真集を出版されました。
でも、残念ながら、出版物は褪色していきます。
入江泰吉記念写真美術館が所蔵する四×五判を主体とする原フィルムは、
すでに激しく褪色しています。
上記の美術館の専門家は、こうした出版物等を参考にしつつ、
原フィルムを慎重にデュープして、
コンピュータでオリジナルの色調をできるだけ回復して、
きわめて大型の展示作品を作成してきました。

このような忠実な再現が実現した作品に美術館で接するとき、
入江さんの求めた気配の表現をしっかりと感じることができました。
そこに人は写っていないのに、
あたかも恋する男女や愛し合う姉弟がそこにいるかのように、
文字通り、肌で感じることができたのです。

でも、このような気配の写真の再現を果たす時代は過ぎたようです。
数年前に一度参りました。
優れた銀塩プリントを見たことがない技術者たちと学芸員が
現代カラー写真だけをレファレンスとして、作品をプリントしているのです。
その結果、ギャラリーに掲載されている入江さんの作品は、
現代のアマチュアによるデジタル写真とそっくりのけばけばしい色調で、
気配などどこにも隠されていませんでした。
現代のけばけばしい色こそ理想の色と信じているのですから、
入江さんも生きていたら、きっと喜んでくれるだろう、
とでも考えているのでしょうか?

若い女性ブロガーらしき人がブログに書いていました、
「銀塩フィルムで撮った写真をプリントで見ましたが、
これならまあまあ許されるな、と思いました」
思わず、爆笑してしまいました。
理想と現実とが完全に逆転しているのです。

写真作品はデジタルになって現実世界との接点をどんどん失って、
仮想空間の描写になりつつあると、私は思うのですが、
このデジタル表現こそが真の美である、
そう本気で信じている人たちが増えているらしい。

入江泰吉さんはあの世で悲しんでいるだろう、
私ならそう思うのですが、
もっと美しく再現されるようになったのだから、きっと喜んでいる、
そう感じる人が次第に多くなっていくのでしょうか?
なんだか怖いですね。





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by hologon158 | 2017-02-11 23:54 | ホロゴンデイ | Comments(0)