わが友ホロゴン・わが夢タンバール

33.7ホロゴン写真展「1998年1月冬のネパール」7 あなたは友人とぴったりひっついて座れますか?


パタンの寺院の西面。
ベンチがあります。
常連さんなのでしょう、互いに顔見知りの老人たちが集まっています。
密接距離というのをご存知でしょうか?
人が、ある距離を超えて近づいてくると、圧迫感を覚える、その距離です。
民族により、国により、文化により、地方により、人により異なるそうです。
さらには、近づく相手にもよります。
恋人なら、密接距離はゼロとなるでしょう。
仇敵なら、はるか彼方に見えただけで、嫌悪感、圧迫感、不安がこみあげてくるでしょう。
つまり、密接距離は無限大。
友人同士ならどうか?
日本人男性なら、友人同士でも、ぴったりひっつくのはちょっと無理。
ところが、中国人は男同士平気で手を握って歩きます。
ロシア人ときたら、しっかり抱き合って、接吻までします。
こうなると、かなり短いですね。
ちなみに、この距離が長いのがドイツ人だそうです。
ドイツ人は、どこに行っても、誰と居ても、
肉体的にだけではなく、精神的にも、間隔を置きたがるそうです。
ネパール人はどうでしょうか?
この写真の友人たちをご覧ください。
両側に随分余裕があるのに、皆さん、びたびたとくっつき合って、にこにこ顔。
もちろん少し寒いので、たがいに温め合う目的もあるのかも知れません。
それにしても、日本人はそんな風に暖をとることはしないのですから、
ネパール人も密接距離が大変に小さいようですね。
でも、おもしろいものですね。
左端の男性をごらんください。
ちょっと離れて座り、なんだか疎外感を漂わせていますね。
この人たちと知り合いではないのでしょうか?
それなら、もっと離れて座ってもよさそうなものです。
両側にいっぱいベンチがあるのですから。
このあたりの人間関係、皆目見当がつきませんが、
専門家が見たら、たちまち見破ってしまうかも知れませんね。
カトマンズは、たしか海抜が千メートルを越えるはず。
そのうえ、盆地です。
ヒマラヤが北と西に聳えているのですから。
そのうえ冬と来るのですから、日没が大変に早いのです。
その残り日のあたたかさを少しでももらおうと、
老人たち、傾く太陽にしっかりと対面し続けているわけです。

33.7ホロゴン写真展「1998年1月冬のネパール」7 あなたは友人とぴったりひっついて座れますか?_c0168172_2230327.jpg

     [撮影メモ]
      ホロゴンと老人たちの距離は約2メートル。
      だから、老人たち、私に気づいたのです。
      私に向かって、なにか言いかけてきました。
      私も、適当に、英語で返事します。
      意味が通じようが通じまいが、そんなことは問題じゃない。
      肝心なことは、たがいに笑顔を交わせるということ。
      これ以上離れたら、とても写真にはなりません。
      ホロゴンは、その意味で、引っ込み思案の方には向きませんね。
      ちなみに、私の密接距離は、自分から近づく場合は、30センチ。
      つまり、ホロゴンで撮る最短距離が私の密接距離なのです。 
      
by Hologon158 | 2008-10-14 00:05 | ホロゴン写真展 | Comments(2)
Commented by まこっち at 2008-10-14 00:02 x
こんばんは。
なかなかカメラを向けられない引っ込み事案な僕ですがHologon158さんに影響されてつい・・・
デジタルで何枚も撮ってもなかなかちゃんと撮れないので、フィルムでこんなに素敵な写真が撮れるなんて、とても感心してしまいます。
Commented by Hologon158 at 2008-10-14 16:13
re)まこっちさん
ありがとう。
まこっちさんは、全身、この人は正しい人で、信用がおけるという雰囲気を漂わせています。
そのうえ、二枚目で笑顔も素敵なのですから、その魅力を精一杯写真でも使うべきです。
写真を撮る前ににっこりしてもいいし、撮ってからにっこりしてもいい、
気が付かなければ、自分で自分ににっこりして立ち去ってもいい、
臨機応変にかつ機敏に行動すべきです。
この行動力も超高速バイクで培っているのですから、鬼に金棒!
あとは実行あるのみです。
あのとき撮っておけばと後悔するより、まず一枚撮りましょう。