わが友ホロゴン・わが夢タンバール

33.28ホロゴン写真展「1998年1月冬のネパール」28 午後の一服って、そんなに美味しいのですか?


どなたにも、自分の人生で絶対に味わうことのできないなにかがあるものです。
私の場合は、喫煙の喜びもその一つ。
煙を吸って、どうしてあんなに気持ちよさそうに眼を細めるのか?
どうも皆目見当がつきません。
では、一度吸ってみたらどうなの?
そうおっしゃる方もおいででしょう。
でも、そんなことはしない。
なんでもかんでも経験しなくちゃならないということになったら、
身体も心もいくつあっても足りません。
たとえば、不倫は禁断の喜びだそうです。
でも、味わいたいとは思いませんよね。
失う価値の方がずっとずっと多いのですから。
私たちは、いろいろなアイテムを道中集めていって武装する戦士のようなものです。
自分の人生にぴったり合ったものだけを集めたいものです。
自分の目標を達成するのに役立つものだけを集めたいものです。
私がそんなつもりから捨てたものの中に、
捨てなきゃよかったなと、ちょっと後悔するものが一つあります。
それは、時間的余裕、ゆとりの時間。
神様は私に、めまぐるしく走り回る人生を与えてくださったようです。
どこかで一休みして、じっと手を見るなんてことができない人生。
バドガオンの王宮広場のたたき。
折りからの黄金の時間、斜光線を一杯に浴びて、
老人が安らいでいます。
手には、煙草が一本。
これほどまでに安らぎに満ちた顔をこれまでにご覧になったことがありますか?

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by Hologon158 | 2008-10-19 08:00 | ホロゴン写真展 | Comments(2)
Commented by andoodesign at 2008-10-19 08:40
黄昏時の光と影を見事に絵の要素にしていますね!
男性がみじんも警戒心を持たず視線をくれているところ、そこに立つHologon158さんの自然な動作があってこそでしょうね。
2枚目はフレクトゴン35mmF2.4でしょうか?
やはり見事は立体感ですね。
Commented by Hologon158 at 2008-10-19 22:27
re)andoodesignさん
それは、私が写真家的な風貌も服装も装備もなにもないからです。
私は、この老人のやさしい眼差しを見るたびに、
ああ、この人のような心のゆとりがないって、
人生、半分失敗しているのじゃないかなという気分になってしまいます。
本文に書かなかったのですが、この煙草をごらんください。
吸うときも、そおーっと持ち上げ、そおーっと吸い、そおーっと戻す、
そんな数分を過ごしてきたのではないでしょうか?
なみなみならぬ心の静寂、落ち着き!
まさに、恐れ入りました。