わが友ホロゴン・わが夢タンバール

2017年 08月 17日 ( 1 )

700.05 ホロゴン外傅207「奈良町、2016年3月26日清水路地をスピードパンクロで」5-完- 二十四の瞳


木下恵介監督、高峰秀子主演の映画「二十四の瞳」を久しぶりに観ました。
久しぶりもなにも、小学校以来。
当時、ときどき、小学校高学年総出で映画館に行ったのです。
こんな深刻で、ストーリーの糸がいくつも重なっている重厚な映画を、
小学生が観たものだと、感嘆したり、頭をかしげたり。

完全な反戦映画なのに、
私の記憶の中では、分校の先生をつとめた女性、
大石先生の一代記、
懐かしさ一杯の感動作、そんな位置づけのまま、
これまでずっと過ごしてきたのです。
小学校の鑑賞のときも、全生徒でおいおい泣きました。
今回も、小学生時代に劣らず、泣きました。
でも、感動の質はまるっきり違った感じがします。

小学生の私がどんな気持ちで泣いたか、
まったく記憶がありません。
でも、これほどに苦く、暗く、
希望も未来もほとんどなく、逃げ場もない、
そんな主人公の人生をしっかり理解していたはずがありません。

結局、ラストで、主人公は再び分校の先生となります。
まるで振り出しに戻ったかのようですが、
子供の年齢から推して、まだ40代前半なのに、
すっかり老いて、足取りはたどたどしく、視線は弱々しい。
物語の最初のころに、岬の分校の先生になるのは、
駆け出しか、それとも行き場のなくなった定年間際の老先生、
というせりふによる説明があります。
どう見ても、大石先生は後者なのです。
昔の教え子に頑丈な自転車をプレゼントしてもらい、
湾を隔てた岬の分校まで自転車で通うのですが、
その道は昔のままのでこぼこの田舎道。
走る姿はいかにも弱々しい。
生活のために再就職したのです。
でも、いつまで続けることができるのでしょう?

鄧小平はおおむねこんな趣旨のことを言ったそうです。
「国家の平安、繁栄のためには、百万の国民を殺してもよい」
名高い戦史家のリデル・ハートはその浩瀚な「第二次世界大戦」で、
ドイツ軍、とくにグデーリアンやロンメルについては、
何十頁も費やしたのに、日本軍については端的に一言こう書きました。
「日本の陸海軍に関しては、特筆に値するデータは見あたらない」

現場を知らない大本営が戦術、作戦を決定し、
地図も用意せず、見取り図だけで、
陸海軍を、大平洋諸島、インドシナ半島に送り込み、
食糧補給もせず、失敗の責任はすべて現場の指揮官に押しつけたあたり、
現代の首相や官僚たちとそっくりの行動様式。
リデル・ハートも、大本営の無知、無能、無責任にあきれるどころか、
怒りで一杯だったことでしょう。

大石先生の教え子中男の子5人は全員徴兵され、
3人は戦没し、1人は視力を失います。
この映画の本質的な訴えは、二度と戦争を起こしてはならない、
こんな悲惨を日本人に味あわせてはならない、ということにあります。
大石先生も分校の生徒たちも、成長後の生徒たちも、周辺の登場人物たちも、
まるで本当の人生の記録であるかのような入魂の演技、演出でした。
暗く重い作品ですが、かすかな希望、救いもないわけではありません。
今、そっくりこのままリバイバルして、
日本人全員に見せたい、そんな名作です。




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by hologon158 | 2017-08-17 23:47 | ホロゴン外傳 | Comments(0)