わが友ホロゴン・わが夢タンバール

45.11 ホロゴンアワー1「2008年12月25日梅田北新地」11 フェルメールがタンバールに関係してる?


タンバールって、夢のあるレンズです。
「かくれんぼレンズ」「一瞬先は闇レンズ」であるのは、
原風景からかけ離れて、とんでもない写りをしてくれるから。
その離れ方がどうやら絵画の方角を向いています。
でも、絵画そのものになってしまったら、写真じゃない。
その点は心配がありません。
絵筆、絵の具を使わないのだから、絵にはなりようがない。
じゃ、どんな感じの写真なのだ?
撮影時に、その予測は不可能。
ですが、期待とか夢はいくらでも可能ですね。
だから、自分から、タンバールに期待し、夢を描いちゃいましょう!
でも、参考、模範がないと、なかなか期待、夢は難しい。
私の知っているタンバール使いの大写真家って、実は木村伊兵衛だけです。
(勉強不足ですね。誰か他にいたら、教えてくださいね)
しかも、木村伊兵衛はモノクロームでした。
タンバールはモノクロームに限るという説もあります。
そんな法律があるの?
「タンバール写真カラー禁止条例」? まさか!
だから、私は気にしません。
モノクローム写真を見るのは大好きですが、
私の撮りたいのは、しっとりと押さえた色調のカラー、
さすがにモノクロームでこれは撮れませんね。
したがって、木村伊兵衛のすばらしいポートレートの雰囲気、
これは願っても無理。
じゃあ、なんだ?
そこで、思い出しました。
フェルメールの「真珠の首飾りの少女」
マウリッツハイス美術館でこれを観たとき、瞬間思いました、
「これはソフトフォーカスじゃないか!」
お隣に2枚、オランダ画派の同種の絵が並んでいました。
細い筆でしっかり精密に描き込まれています。
でも、不思議ですね、
精密に描き込めば描き込むほど、不自然になり、
現実感と空気感を失ってしまうようです。
フェルメールの偉大さは、むしろ太い筆で、
ものや人の肌合いや雰囲気をさらりと大づかみに描ききったところにある、
私はそう信じます。
この絵なんか、近くに寄ると、ますますぼやけるのです。
(実は、彼の絵はぜんぶそうですが)
この絵の制作にあたりカメラオブスキュラの利用があったのか?
議論されているのを読んだことはありません。
しかし、実物を観る限り、カメラオブスキュラを利用して、
焦点をずらした効果をじかに確かめながら描いたのだ、
そう考えざるをえないのです。
圧巻は瞳。
表層をうっすらと涙がおおっているように見えます。
写真的に言いますと、ピントがきちんと目と肌に来ていない!
そのほんの少し手前の空中が焦点面で、
少女はふんわりとアウトフォーカスの状態にあるのです。
少女のほおの線は、まるでタンバール(フィルターなし)で撮ったかのように、
暗い背景にフレアーがほんのうっすらと拡がっています。
その描写は、絵画史上の奇跡であると私は断固主張します。
そのふんわりと温度感、湿度感、空気感のある肌を観るにつけ、
こんな写真を撮りたいなと考えたことを思い出しました。
今、タンバールを得て、
私はその夢の実現に向けて、一歩を踏み出した!
これが私の新春最初の確信なのです。
で、少女はどこだ?

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by Hologon158 | 2009-01-03 18:11 | ホロゴンアワー | Comments(0)