わが友ホロゴン・わが夢タンバール

49.07 ホロゴンデイ20「2008年10月5日羅漢さん」7 若冲居士門前に居住せり


石峰寺には、18世紀京の画家、伊藤若冲の墓があります。
晩年、石峰寺の庵に住んだのですが、
その若冲が下図を描いて作ったとされるのが五百羅漢。
作った当時はどうだったのでしょうか?
もっときちっと彫り込まれて、立派な像になっていたのでしょうか?
今は、形が崩れ、彫り込みも浅くなって、なんだかいい加減な像ばかり。
でも、見ていると、とても愉快になります。
表情豊かで、それぞれになにかを物語っています。
若冲の作に「布袋唐子図」があります。
布袋さんの頭の上に子供が乗って、うちわで布袋さんを扇いでいます。
両側にも子供が二人まとわりついて、布袋さん、ご満悦の表情。
この布袋さん、ちょっと羅漢さんに似ています。
絵全体が犬だらけの楽しさいっぱいの「百犬図」の犬たちも、
まるまる、ぬくぬくしていて、羅漢さんと雰囲気がそっくり。
寛政6年10月、儒学者の平賀白山が石峰寺の若冲を訪ねた折の日記があるそうです。
「百丈山石峰寺へ参る。是には若冲居士門前に居住せり。
しばらく咄をききぬ。襖に石ずりのように蓮を書けり。
面白き物好き也。
五百羅漢を一見しぬ。
是は山上に自然石を集め、形りに若冲彫り付けたり。
段々迂回して道を作れり。
その外涅槃像もあり。甚だ面白きことなり。
又其の山の入り口に新たに亭を建てたり。
是も若冲の物好き也。
寺の左に若冲の古庵あり。
庭もさびておもしろし。
妹を真寂尼といふて両人住居せり」
どうやら若冲は、「私が彫ったのだ」と言ったようです。
若冲このとき78歳ですから、独りで彫るのはとても無理ですね。
どちらにしても、若冲の図案であることは間違いがないようです。
若冲の仕事を、白山はすべて面白い、物好きと評しています。
これ以上適確な評言はないでしょうね。
素人画家から出発した若冲の作品はすべてこれ、
面白し!
五百羅漢はどうでしょうね。
まあ、ご覧下さい。

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by Hologon158 | 2009-01-29 15:16 | ホロゴンデイ | Comments(4)
Commented by andoodesign at 2009-01-29 18:26
若冲がこんな仕事を残していたとは、知りませんでした。
図案から彫り起こされたことがよく解り、面白い像ですね。
見たところ、それほど堅い石材ではなさそうなので、ひょっとすると本当に本人が彫ったのかもしれませんよ。
ホロゴンとプラナーの色温度差がとてもよく見えて、これも面白いです。
ホロゴンはカラッと、プラナーはシットリ、という印象ですね。
Commented by Hologon158 at 2009-01-29 19:33
re)andoodesignさん
若冲が嘘を言う理由がないので、
一部は自分が、一部は石工が彫ったのでしょうね。
たしかに柔らかい石ですが、腐っても石、
78歳の老人にはやっぱり一体彫り抜くのだって、なかなかの労苦だったことでしょう。
実は、このプラナー、ほとんど開放ですが、
プラナー75mmF3.5の開放描写は、絶対に80mmF2.8よりいい!
驚くほどに活き活きとしているのです。
Commented by yoshipass at 2009-01-30 01:21
う~ん!
この発色の違いは、なんと言うことでしょうね・・・(驚)
こうやって並べていただくと本当によく解りますね。
Commented by Hologon158 at 2009-01-30 10:34
re)yoshiさん
これは予想外でした。
私は、ローライ・プラナーって暖色系だとばかり思っていたのです。
当初からずっと冷色系に近い感じで、
どうやらこれがプラナー75/3.5の特性なのでしょうね。
それに、おそらくこれはホロゴンがとびきり暖色系なので、よけいに冷色系に見えるのでしょうね。
これほどに違うと、この2本をセットに使って写真を組むのはちょっと考えものですね。
プラナーをアクセントにして、時折挿入する程度でしょうか?
それとも、もともと王様レンズの一つであるプラナー、
ホロゴンのサブに使われて、怒りに青ざめているのかも知れませんね。