わが友ホロゴン・わが夢タンバール

52.39ホロゴン外傳7「1989年8月パキスタン」39 一冊の本からなにを得るか?


植田正治の写真をはさみながらのエッセイ、
臨床哲学者の鷲田清一著「まなざしの記憶」(TBSブリタニカ)を読んでいます。
正直言って、ピンと来ません。
大変に含蓄に富む、深い思想の文章なのでしょう。
でも、こちら受け手の問題なのでしょうが、文章を追いながらつい思ってしまうのです、
そんなに物事を突き詰めなくても?
そんなに簡単なことがらを難しく分析していかなくても?
言葉が多すぎて、なにがなんだか分からなくなるのです。
そんな風に感じる理由の一つが、植田正治の写真にあります。
あまりにも対照的に、実にシンプルなのです。
彼の写真はよく「ファッショナブル」と評されることがあります。
それがこうじて、ほんとにファッション写真まで手がけたようです。
とにかくしゃれています。
「間の写真家」と言われることもあります。
まるで落語の間にはさまれる沈黙の間のような、
言葉にならない言葉を語る、意味深長な間がそこにあります。
ものではなく、ものとものの間を、
人ではなく、人と人の間を撮った写真。
そんな写真の間に、どこかすべてを語り尽くそうとする文章がどっと入ると、
ちょっと違和感があります。
そのコントラストが、わざと意図されているのかも知れません。
でも、どうしても、文章が損をしています。
写真だけあれば、それで十分だなという感じさえしてきます。
植田正治は生涯アマチュア精神、変わろうとする努力を失わなかった写真家ですが、
マンネリのように見えて、実はマンネリでなったという感じがします。
こんな風に見せられることによって、
ちょっと他に類例のない、静かなのにインパクトがある写真を作っていたんだな、
そう納得させられました。
それだけでも、この本を手に入れた甲斐があったというものです。

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by Hologon158 | 2009-03-01 13:33 | ホロゴン外傳 | Comments(2)
Commented by yoshipass at 2009-03-02 00:12
「まなざしの記憶」,ホロゴンさんと写真の本に関しては重なっていますね。以前読みました。2000年の出版でしたね。
植田さんの関連本としては、ご本人の「写真の作法○アマチュア諸君」が、面白かったです。光琳出版がなくなってしまいましたから、別のところで出していたようですね。
Commented by Hologon158 at 2009-03-02 14:38
re)yoshiさん
まだ読んでいません、探してみます。
植田正治さん、絶対に真似のできない写真ですね。
いつか彼の美術館に行って、金調色のビンテージプリントを見るのが夢の一つです。