わが友ホロゴン・わが夢タンバール

52.43ホロゴン外傳7「1989年8月パキスタン」43 一台のカメラ、一弾揚琴


水墨画家、浦上玉堂の七言絶句にちょっと考えさせられました。

玉堂琴士たまたま三首を得る
半醒半酔半生老ゆ
終日終宵、酔吟に悩む
もし生前何に長儘(チョウジン)すと問わば
一杯の卯酒(ボウシュ)一弾琴
琴酒に興を遣る
老行日暮れて道なほ遠し
無限の心事(懐)なんぞきわまり有らん
世上の是非すべて管せず
ただまさに寒斎に長嘯すべし
(書斎に沈吟す)
老来孤独、栖(スミカ)無きに似たり
酔い去りて行吟するに、日すでに低し
身は風琴をひきいて、いたる処好し
山を尋ね水を尋ぬ、九州の西

私は、まだ老人とは思われたくない、いわば半老半壮の身。
でも、なんだか、玉堂の気持ちが痛いほど分かります。
ぼくはあと何年生きるのだろう?
ときどき、そう考えることがあるからです。
目の前に90の老人が居て、その人から尋ねられるとします、
「私とあんたとどちらが長生きできるじゃろうね?」
いまどき、こんな言葉を使う人がいるとは思いませんが、まあいいでしょう、
私はこう答えるほかはありませんね、「分かりません」
目の前に3歳の子供が来て、「おじちゃん、僕の方が長生きするよ」
私、やっぱり、「それは分からないよ」
でも、とにかく「あと一球!」じゃありませんが、
「あと何年?」と数える歳になってしまったのです。
子供の頃、夏休みが後半にさしかかったときと、やることは同じ。
こうなりゃ、思いっきり生きるぞ!
玉堂と違うのは、私なら、
「一台のカメラ、一弾揚琴
身はホロゴンをひきいて、いたる処好し」

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[後書き]
この崖下の家、
ちょっと「老来孤独、栖(スミカ)無きに似たり」を思い出させませんか?
でも、一度住んでみたいですね。
私の下手な揚琴演奏でも、水と風の音と溶け合って、ちょっとしたものに?
ならないでしょうね。
by Hologon158 | 2009-03-02 11:09 | ホロゴン外傳 | Comments(0)