わが友ホロゴン・わが夢タンバール

55.04ホロゴンドラマ4「2008年11月11、12日長崎四日と楽日」4 写真家って、つらいものだなあ


yoshipassさんのブログで、再び牛腸茂雄に関する記事を読みました。
牛腸の同級生であり、どうやら牛腸の写真の盟友だったらしい写真家関口正夫、三浦和人の、
ギャラリートーク「写真を語る」(聞き手:大倉宏)の席上、
三浦和人さんがこう述べられたそうです、
「SELF AND OTHERS のボクの写真は、好きな写真じゃありません。
そして、双子の女の子の写真は、本人たちも好きな写真じゃないといっています。」
yoshipassさんは、この言葉に大いに納得されたようで、
「(牛腸の作品は)やはり、「哀しみの写真」に見えてしまいます」とお書きになっています。
私もその通りだと思います。
私の牛腸茂雄に関する考えは、52.19に書いたとおりですが、
牛腸は、次々と撮り重ねていった人々と、
ついに全人的なつながりを築くことができないことの確認と、
これからもできないだろうという予感とを感じつつ、
撮っていたとしか感じられません。
双子の女の子の写真など、ダイアン・アーバス並にフリークめいた雰囲気さえあります。
擁壁の前の花束をもつ少女なんか、まるで葬儀のようです。
牛腸が、記念撮影方式を選択したことも、故あってのことと思われます。
最初から、牛腸は杓子定規、四角四面に、人々を被写体として突き放す雰囲気を選んでいたのです。
その裏に、人との全面的な信頼関係、人間関係を築くまでもなく、
自分は逝ってしまうだろうという、死の予感があった、
私にはそう感じられます。
これは後知恵から知れません。
でも、yoshiさんがおっしゃる通り、
彼の写真の根底には、まぎれもなく彼の疎外感、寂しさがあります。
写真家って、つらいものだなあ、いつもそう感じてしまうのです。
それにひき替え、私の写真、今回もそうですが、
悲しみとか深みなんてものは、薬にしたくとも、皆無!
なんとも浅薄!
でも、それでよかった、幸せだ、そう感じる私なのですから、世話はないですね。

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by Hologon158 | 2009-03-11 00:19 | ホロゴンドラマ | Comments(2)
Commented by yoshipass at 2009-03-11 21:38
こんばんは、
牛腸の写真に関して、往復書簡のようになりました(^^)
時がたてば、牛腸の写真に対する僕の感じ方に変化があるかもしれませんが、
Hologon158さんの考え、感じ方を拝読しながら、僕自身の考えを整理しなおすとてもよい経験でした。
有難うございました。
Commented by Hologon158 at 2009-03-11 21:59
re)yoshiさん
お言葉、私の方がむしろyoshiさんに向かって述べたいですね。
yoshiさんの牛腸感を知って、私の心の中でもう一度、
このシューベルトのような天才写真家のことをじっくり考えてみる機会ができました。
結局、牛腸は、写真を撮ることで、人生を自分の足で一歩一歩歩み、
孤独と真っ正面から真剣に向き合って、
自分という人間を確かめたのでしょうね。
そんな苦しい作業をしっかりと写真集にくみ上げたのですから、
牛腸という人はとても誠実で真摯な人間だったことが分かります。
もっと長生きしてほしかった天才ですね。